3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「理人さん、せっかくチケットをいただいたんです。行ってみませんか?」

「そうじゃぞ、理人。仕事ばかりしていないで、野々花さんとの時間を大切にしなさい」

 私と祖父に言われ、彼は「わかったよ」と言ってチケットを受け取った。

「チケット、ありがとうございました。帰りにお土産を届けに寄りますね」

「そうだな、じいちゃんが好きそうなお土産を買ってくるよ」

 私の提案に嬉しそうに言う理人さんを見て、祖父は顔を綻ばせた。

「ありがとう、じゃあふたりが届けてくれる土産を楽しみにしているよ」

 笑顔の祖父に見送られ、私たちは車で一時間ほどの距離にある遊園地へと向かった。
 渋滞などなく、順調に車を走らせる中、理人さんが口を開いた。

「さっきはありがとう。……正直、せっかく会いに来たのにどうして追い出すことをするんだ?って思ってしまって。今ならじいちゃんなりに俺たちのことを考えてくれた優しさだってわかるよ。助かった」

「いいえ、そんな。私が理人さんでも同じことを考えていたので。不思議ですね、立場が違えば異なった角度で物事を解釈できました」

「そうだな」

 昨日がいい例だ。理人がいなければ祖母の相談に乗ることはできなかったし、前向きな気持ちになれることもなかったから。
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