3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 日もすっかりと落ち、窓の外は真っ暗だ。そろそろカーテンを閉めてほしいところだけれど、それだけで看護師を呼ぶのは気が引ける。

 恐らくあと少しで夕食の時間だろうから、食事が運ばれてきた時に閉めてもらえばいいよね。
 ベッドの上で呆然と様々なことを考えていると、ドアがノックされた。

「はい、どうぞ」

 私の返事を聞き、入ってきたのは夕食を持った理人さんだった。

「え? 理人さん?」

「食事を持ってきた。食べられそうか?」

 そう言ってテーブルに置かれたのは重湯。彼は開けっぱなしだったカーテンを閉めてくれた。

 そしてリモコンでベッドのリクライングを上げると、座位がしっかりととれるようにクッションで身体を固定してくれた。

「すみません、ありがとうございます」

「どういたしまして」

 そう言って微笑んだ理人さんの笑顔に、胸が高鳴る。

 理人さんとは家を出て以来なのに、まるであの日の出来事がなかったかのよう。

「はい、野々花。口開けて」

 理人さんは一口分の重湯をスプーンに載せて、私の口元に運んできた。

「えっ!? いいえ、自分で食べられます」

「いいからやらせてよ」
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