S系外交官は元許嫁を甘くじっくり娶り落とす
明日は仕事だし、お泊まりの用意もしていないから今夜はそうならないに決まっているのに……本当はまた甘い一夜を過ごしたいと思っている証拠なのか。自分がこんなにエッチだったなんて。
ほどなくして席に戻ってきたエツは、私を見てわずかに首をかしげる。
「なんか顔赤くないか?」
「気のせいだよ、気のせい。ははは」
なんとかごまかそうと、無意味にほとんど残っていないアイスティーをストローで吸ってみたりする私を、彼は不思議そうに見ていた。
レストランを出た後も、刺激の強くないアトラクションをめいっぱい楽しんで、日が沈み始めた頃に観覧車に乗り込んだ。
ゆっくり上がっていくカプセルの中、向かい合って座る彼に問いかける。
「高いところは平気なの?」
「ああ。振り回されない限りは」
もはや絶叫系が苦手だと隠さなくなった彼にクスクス笑いつつ、みるみる小さくなる人や街並みを眺める。暗くなっていく空を太陽が名残惜しそうに朱く染めていて、センチメンタルな気分になる。
「楽しい時間が過ぎるのはあっという間だね……」
「俺も、遊園地なんて学生時代以来だったけど楽しかったよ。花詠と一緒ならどこに行っても笑っていられるんだろうな」
穏やかな表情でそんな風に言ってくれる彼に、嬉しさと愛しさが募る。