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「駿介さんじゃなくて、旭さんに頼まれたので!!」

「だから、俺は頼んでねーんだから、ついてくる必要ねぇだろーが」

「だから、旭さんに頼まれたって言ってるじゃないですかっ」

「俺のことは、俺が頼む。だから、おまえは戻って仕事しろ」

「いやですっ」

 なんなんだ、この人は。こんな子供じみたことを言って、千真を困らせるなんて。

 駿介は至極面倒そうに息を吐き出すと、大体、と口を開いて千真のほうに身を乗り出した。

「この絆創膏が気にいらねぇ。せっかくつけてやったのに、見えねーじゃねぇか」

「きゃーっ!!」

 千真に覆い被さるようにしてうなじを見た駿介は、勢いよくそれを剥がすと、ふい、と横を向いた。勢いよく剥がされたせいで、うなじがヒリヒリする。
 それよりもなによりも、今、余計なことを言いやがった!

「なんで今、それを旭さんの目の前で言うんですかー!?」

「本当のことじゃねぇか」

「本当のことでも、言っていいことと悪いことがあるでしょー!?」

 ますますもって、信じられない。
 今の口振りからして、わざとキスマークをつけたことは明白だ。おまけにそれを、旭の目の前で暴露するなんて。デリカシーがないにもほどがある。ましてや駿介は、千真が旭を好きだと知っているはずなのに。
 じわり、また涙が滲んでくる。もう、駿介の前にいると、泣きたくなることばっかりだ。
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