幸せのつかみ方

プロポーズ

クリスマス。
病院で入院患者向けのイベントが開かれていた。

片付けを終わらせた後、私たちは屋上にいた。
昨日から降り続く雪が、屋上の草木にかかって、幻想的な雰囲気を漂わせていた。


「いいクリスマス会だったね」
と樹さんが手を繋いだまま呟いた。
「ええ。いろんな家族がいて。それぞれが、ここで過ごす時間を大切にしていて、胸がいっぱいになったわ」

入院患者は様々で、治ればすぐに退院できる人も、そうでない人も、これからも苦しい治療に向き合わなくてはいけない人もいろいろな人がいた。
笑顔だったり、涙だったり、いろいろな感情が混ざったクリスマスをそれぞれが迎えていた。


「千夏」
「?」


「俺、千夏を幸せにしたい。
嬉しい時は一緒に笑って、悲しい時は一緒に泣いて、苦しい時には俺が支えになりたい。
俺、千夏と家族になりたい」

「樹さん・・・」

樹さんは私の両手を持ち、膝まづいた。

「俺は千夏を一生愛し続けると約束するよ。
千夏、俺と結婚してください。
俺と家族になってください」


「樹さん・・・」





私を見上げる樹さんの顔が、涙で滲んで見えない。
けれど、きっと樹さんはいつものあの温かい目で優しく私を見つめてくれているだろう。

私は樹さんのこの言葉を疑うことなく、信じ続けることができる。
そして、私もずっと樹さんを愛し続けるわ。


「俺と結婚してください」

再び告げるその声に、

「はい」

と返事をした。




樹さんは立ち上がり、私を力強く抱きしめた。


「ありがとう。幸せにするよ」


樹さんの言葉に私は涙を止めることができなかった。




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