幸せのつかみ方
  
直幸はタンドリーチキンに噛みつきながら話し続けた。

「それなのに、二人とも離婚しても再婚どころか付き合ってる人の影すらないし。
「ねえ、母さん。家を出て1年半でしょ?どう?」

「どう?って、普通よ」

「これから先、誰かと再婚とかするつもりとかないの?」
「母さんには再婚する予定も、する気もないわよ」

「好きな人は?」
「いません」

「二人ともフリーなら復縁しちゃえば?」
「しませんってば!!!」

しつこく裕太と私の復縁を進めてくる直幸に、私の口から那奈さんのことは言えない。
もしかしたら、直幸は私たちの離婚に納得していなかったのかもしれない。



「父さんと母さんの間で何があったかは知らないけどさ、結婚生活って好きだけじゃやっていけないって聞くよ?
これからの人生さ、一人じゃ寂しいんじゃないかな?
金銭的にも父さんと一緒の方が楽できるんじゃない?」

「バカ!」
結婚に対して金銭的にとか言い始める直幸にブチ切れてしまった。

「バカって・・・俺は心配してるんだよ」


そして、ゆっくりと、心配しているよ言う直幸に話しかける。


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