太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
「相変わらず無表情じゃな……表情筋はあるのか?」
「表情筋は鍛えていないのでありません。鍛えますか?」
「取り急ぎ必要はない。いずれ気が向いたら鍛えよ」
「はい」
意味のあるのかないのか分からない会話をした現当主であるシシナード・フルムーンは白い髪をガシガシと掻きながら欠伸をする。
「何故、お祖父様は私を学園に……?」
ある日、突然シシナードは"学園に行け"と指示を出した。
勿論、「はい」という選択肢しかない。
何か理由がある事は確かだが、試すかのようにハッキリとは明言していない。
何でも順調にこなしてきた自分にとって、学園に通う事は何よりも重い試練である。
確かに昼間に出歩く事は修行にもなるとは思うが効率が悪い。
「ティアラを学園に通わす理由だがな……」
「はい」
「ーー運命の出会いじゃ!!」
「…………?」
「つまり、ワシはティアラに恋をして欲しいのだ」
「はぁ……なるほど」
「あれはまだ婆さんとワシが若かりし頃じゃった」
「……」
「そう、それは燦々と降り注ぐ太陽が眩しい日の事だった」
「この話、長いですか……?」