保健室の死神くん



「……それは……どういう」

「んー?」

「よく、わかりません」

「リノちゃんは死神がどんな人物像だと思う?」


……どんな?


「中学生にしては背が高くて。ムキムキで。顔や身体に傷がたくさんあって、髪色が派手で、目がつり上がっているような男を想像してるのかな」

「たしかに。まさにそんな感じです」



あとは

タバコを吸って、バイクに乗っている感じ。



「きっと、周りの子もそうなんだろうね」

「……はい。たぶん」

「だから気づかない」

「……?」

「目の前に死神がいても」

「…………」



え?



「ひょっとしたら、わたし……これまでに死神を見かけたことがあるのでしょうか」



同じ中学の生徒だ。

いくら学年がちがって神出鬼没だと言っても、一瞬くらいはすれ違ったことあるのかも。



勝手な想像で作り上げた不良。



そのイメージとかけ離れていれば、たしかに気づかない。



「にぶいね。リノちゃんは」

「へ?」

「俺」

「……オレ?」

「みんながウワサしてるのは。俺のこと」


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