屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。
「…廿楽くん。心優ちゃんを送って行ってあげて」
「言われなくても」
……廿楽くん?
明楽先輩、今廿楽くんって呼ばなかった…?
「心優、帰ろう」
「へ……?」
気がつけば目の前には廿楽くんがいて、優しく私の頭を撫でてくれた。
「…廿楽くんだ」
「…だいぶ弱ってるね」
…そうかなぁ。
声にしたいのに、なかなか出せない。
「心優、背中に乗っかって」
「うん…?」
廿楽くんが私に背中を向けて、「抱っこするから」と言ってくれている。
……あぁ、そっか。
これ、夢なんだ。
そうじゃないと、こんな夢みたいなこと起こらないもん。
「……うん」
夢なら、いいよね。
そう思い込んで、廿楽くんの背中に体を預けた。