屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

『それは無いわ』



……なにその男、信じられないんだけど。



話を聞いているうちにイライラしてきている自分がいた。



そんな奴より、俺の方がよっぽどいいのに。



俺ならもっと可愛がって優しくできる。



彼女の笑顔を見れるならなんだってしてあげたいし、泣く暇もないくらいに幸せにしてみせるのに…。



そこでハッとした。



“してあげたい”…?“俺なら”…ってなんだ?



今までどの女の子に対しても「なにかしてあげたい」と思うことは、一度もなかった。



して欲しいと言われればそれに応えるだけ。



なのに、なんで名前も知らない…話したこともない子に、こんなことを思うのか。



誰に対しても抱かなかった感情が、一気に溢れ出てきた瞬間だった。
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