ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
姉様の為に生きていきたい
天気の良い、平日の早朝。

スマホの目覚ましがなる。
むくっと起きた聖守が、サイドテーブルのスマホを操作する。

自分に巻きつくように眠っている妃波を見て、フフ…と微笑んだ。

「僕は抱き枕か…!?(笑)」

妃波を起こさないように、妃波から抜け出た。
ベッドルームを出て、風呂場へ行く。
シャワーを浴びて、朝食を作り始めた。

もう少しで出来上がるという時、バタバタと足音がして妃波が慌てたように起きてきた。

「あ、姉様!おはようございます!」
「聖守!ごめんね!
“また”寝坊しちゃった!」

「いえ!大丈夫ですよ!
朝御飯、出来てますよ!
姉様、顔洗ってきてください。食べましょ?」

微笑み、テーブルに出す聖守。
美味しそうな朝食が並んでいる。

「わぁー!美味しそう!」
「そうですか?」
「顔洗ってくるね!」

またパタパタとダイニングを出ていく、妃波。
その姿を微笑ましそうに見て、妃波を追いかけた。

顔を洗っている妃波の後ろから抱き締めた、聖守。
「ひゃっ!!?び、びっくりしたぁー」

「フフ…姉様~」
甘えるように頬をすり寄せてくる。
妃波は、くすぐったそうに身をよじった。

「フフ…くすぐったいよぉ」
「姉様好き~」
「フフ…私も、大好き!」
振り返り抱きついた。



まだ結婚して二ヶ月目の、聖守と妃波。

栄枝財閥の御曹司で栄枝ホールディングス社長の聖守と、大病院・院長の娘、林部(旧姓)妃波。

二人は、幼稚園の時からの幼馴染み。
妃波は典型的なお人好しで、控えめな性格。
更に人見知りなところもある。
それに加えて、両親に過保護に育てられてきた。

その為、妃波の両親は友人である聖守の両親に“娘を栄枝家に嫁がせる代わりに、一生涯守ってほしい”と話していた。

なので聖守と妃波は、ずーっと一緒にいた。

その為か、幼い頃からお互いがお互いを意識してきた。

お互いがお互いを想い、まさに相思相愛カップルである。
聖守は妃波を狂おしい程に愛し、妃波もそんな聖守がいないと生きていけない程に依存している。

そして聖守が敬語で“姉様”と呼んでいるのは、二つ年上の妃波へのせめてもの敬意だ。

頭が良く、器用な聖守。
何もかも完璧な為か妃波といると、聖守の方が年上に見られるのだ。

その事を妃波は全く気にしてないが、聖守は妃波を立てるために、妃波に敬語で接し“姉様”と呼んで慕っているのだ。
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