ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
「相変わらず、美味しい~」
朝食を食べながら、顔をほころばせる妃波。

「そうですか?
良かったぁ!」
微笑む聖守を見ながら、妃波は口をつぐみ聖守を見つめた。

「………」
「姉様?どうしました?」

「聖守は、ほんと素敵な男性だよね……
私とは大違い……」

「え?姉…様?」

「あんなに小さくて、私にくっついていたのに……
今では私より大きくて、私の方が聖守にしがみついてベッタリだし……
聖守は、本当に私で良かっ━━━━━」
「姉様!!!」

「え?」

「それ以上言うなら、強引に口塞ぎますよ?
僕の口で!
しかも!!貪って、姉様が音をあげてもやめない。
僕が満足するまで、キスしますよ!」

「ご、ごめんね…!
それは考えちゃダメだった!」

「そうですよ。
言いましたよね?
僕は、姉様の為に生きていきたいって!」



あの日━━━━━━━

聖守にプロポーズされたあの日も、同じことを言っていた。

去年の聖守の大学の卒業式に、プロポーズされた妃波。

お洒落なレストラン。
カップル席に座り、聖守が妃波に指輪を渡した。
「姉様。僕は、これからも姉様の為に生きていきたいです!
僕のモノになってください!」
と。

「………嬉しい!
でも、私でいいのかな?」
「え?」

「聖守は、完璧な男性なんだよ?
かっこ良くて、頭も良くて、スポーツも何でもこなす。
お料理も、お掃除だって……器用にこなしてる。
そんな人に、私なんかつり合わないよ……
言ったよね?
パパとママのお願いなんか聞かなくていいよって!
二人は過保護だし、聖守のご両親とは親友同士だし、栄枝家の方々に甘えてるだけなの。
…………私、ちゃんと覚悟はできてるよ?
聖守に振られる覚悟!
聖守の幸せの為なら、いくらだって我慢できる!」

「姉様」
「ん?」

「じゃあ…言わせてもらいますね!」
聖守は、妃波を見据えて言った。

「うん」


「僕の幸せは、姉様を奥さんにすること。
姉様に頼りにされること。
姉様に依存されること。
姉様の両親とか関係ありません。
“僕が”姉様の旦那になりたい!
他の男になんて、絶対に渡したくない!
姉様の全てが欲しいです!」

「聖守…」

「だから、もう一度言います。
僕は、姉様の為に生きていきたい!
僕のモノになってください!」

「…………はい!」
妃波は、目を潤ませ頷いたのだった。
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