ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
姉様、嫌いにならないで
幼馴染みの聖守と妃波。

両親達の意向もあり、二人は常に一緒でいつも二人でいた。
しかし………

二人には、空白の三年間がある━━━━━━



そのままマンションに帰り、少し強引に聖守に抱かれた妃波。

今は、二人とも眠っている。

しかし妃波はすぐ目が覚め、眠れずにいた。
ぐっすり眠っている聖守の前髪を優しく払う。

本当に綺麗な顔をしている。
まさに“眉目秀麗”だ。


“………姉…さ、ま…
━━━━━ならないで…?”
不意に、さっき抱かれていた時のことを思い出す。

“嫌いにならないで”
聖守は、そう…言っていたのだ。

「どうゆう意味…?」

爽やかでカッコ良く、頭が良く賢い。
優しく、物腰も柔らかくて器用。

そんな聖守のどこに嫌う要素があるというのだろう━━━━━━━



そんな時だった。
仕事中の聖守のスマホに、電話がかかってきた。
画面には“E”の文字。

「………」
無言で、ただスマホ画面を見つめる聖守。

「社長?出ないんですか?」
秘書が、声をかけてくる。

「あ、うん。出るよ」
そう言って、通話ボタンをタップした。
「もしもし?」

『━━━━━あ、聖守?久しぶり!』
「うん」

『久しぶりにこっちに帰ってきたから、声かけ~』
「うん」

『聖守』
「ん?」

『“うん”の他にないの?』
「ん?」

『例えばー“元気してた?”とか“久しぶりに会いたい”とか』
「元気?」

『うん、もちろん!』
「会いたくないよ」

『うん!俺も、会いた━━━━━は?会いたくない!?』
「うん」

『なんで?』
「………」

『まぁ、察しはつくけどー
可愛い、可愛い妃波嬢に会わせたくないんでしょ?』
「そうだよ」

『大丈夫だって!
妃波嬢には、はっきり振られたしぃ~』
「当たり前だよ?
姉様は“僕のこと”が大好きなんだから」

『だったらいいじゃん!
三人で飯でも食お?』
「嫌だよ」

『じゃあ、妃波嬢のとこに行く』

「は?」
『さぁ、どうする?』

「━━━━━━15分後、例の場所に」
『フッ…OK~!』

スマホをデスクに置き、ハンガーラックにかけていたジャケットを着た。
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