ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
それから、会員制の焼肉店にいる三人。

「ここなら、いいだろ?聖守」
「そうだね」

「素敵なお店だね!」

「だろ?ここ、俺の管轄してる店だから安心だから」

「管轄?
管轄って……あ…」
妃波も、当然瑛鉄の家業のことは知っている。
思わず、口をつぐんだ。

「………」

「姉様!何食べます?
ここのロース最高ですよ!」
聖守が話題を変え、三人は食べ始めた。


和やかに進んでいく食事。

「んー!美味しい!」
「姉様、幸せそう!」

「フフ…だって、美味しいんだもん!」

「……………仲良いなぁー」
瑛鉄が不意に言った。

「え?そうかな?/////恥ずかしいな/////」
「仲良いよ、僕達」

照れる妃波と、微笑み淡々と答える聖守。


「━━━━━ところでさ。
式は、いつすんの?」

「なかなか、僕の予定がたたないんだ」

「でも、妃波嬢は早くしてぇんじゃねぇの?」

「そうだけど…」

「まぁ、しないといけないってわけじゃねぇしな!」

妃波は、その話を微笑み聞いていた。
そして聖守は、そんな妃波の横顔を見つめていた。




「━━━━姉様」
「んー?何?」
ベッドに横になっている二人。
聖守が妃波を後ろから抱き締めている。

妃波の肩に顔を埋めて、聖守が言った。

「結婚式、したいですよね?」

「………うーん、どっちでもいいよ!」
「え?」

「あ、どっちでもいいって言うのは、どうでもいいってわけじゃないよ?
したいけど……瑛くんの言ったように、しないといけないってわけじゃないしってことだよ!
聖守に無理してほしくない!」

「僕はね」
「ん?」

「正直、したくないんです…」

「………うん…」
「姉様のウェディングドレス姿、綺麗に決まってます。
そんな姿、晒したくないんです」

「晒すって……(笑)」
振り返り、苦笑いする。

「こんな言い方、失礼かもしれないけど……
“私達、結婚しました!”って、みんなで祝ってもらう式でしょ?
晒すのと同じです!
姉様は、僕だけの姉様です。
姉様を大勢に見られるくらいなら、祝ってもらわなくていいです」
聖守の顔が、切なく歪んでいた。

「いいよ!」
「え?」

「結婚式、しなくていいよ!
……………あ、でも!」
「はい」


「写真だけ、撮らない?
二人だけで!」
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