ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
「あの、彼氏さんに“やめて”とは言えないんですか?例えば、少し回数を減してもらうとか」

「それは、話した。
でも……“俺のこと嫌いなの?”とか“もしかして、好きな奴ができたの?”とか、全くこっちの話を聞いてくれなくて……」

「そう…なんですね……
私は旦那さんがそんなこと言い出したら、とにかく沢山愛情表現をします。
抱き締めて“好きだよ”って言って“大丈夫だよ!傍にいるよ!”って安心させるように話します」

「そっか」
「とにかく、突き放すと逆効果です!」

「そうなの?」
「はい!私が矢畑さんの彼氏さんだったとしたら、突き放されたら死にたくなります。
大袈裟かもしれませんが、私は聖守がいないと生きていけないから……
すみません。私も重い女なので、矢畑さんの相談相手にはならないですよね…」

「ううん!そんなことないよ!
ありがとう!聞いてくれて、凄く心が楽になった!
他の友達に話すと“別れろ”って、それだけだから。
私もやっぱり彼が好きだし、何かいい方法ないかなって思ってて……
栄枝さんに話して良かった!本当、ありがとう!」

「そんな…/////な、なんか…恥ずかしい/////」
「フフ…ほんと、可愛いよね~栄枝さん!」
頬杖をついて、微笑む矢畑。

「え!?そ、そんなこと/////」
「なんか、同い年に見えない!
年下に見える(笑)」

「よく言われます。
旦那さんと並んでても、私の方が二つ年上なんですが“旦那さんの方が”二つ年上に見られるんですよ(笑)」
「フフ…そうなの?(笑)」


ランチを終え、会計に向かう。
「ここは、私に奢らせて!」
矢畑が微笑み言った。

「え!?だ、ダメですよ!」
「ううん!奢らせて?
話聞いてくれて、ほんと助かったの!
また、何かあったら聞いてくれる?」

「それはもちろん!でも、ご馳走になるわけには……」
「ダーメ!」

「じゃあ…お言葉に甘えて……
ありがとうございます!ご馳走様でした!」
あまりしつこくは失礼だろうと思い、妃波は笑顔で受け入れた。

矢畑が会計しているのを、なんとなく見つめていると……
「あ、矢畑さん。
首に、虫刺されが……
…………えーと、これ!どうぞ?
虫刺されに聞くんですよ!
これまだ未使用なので、衛生的にも大丈夫かと……!」

「え?首?
あ……これ、は…/////」

矢畑の顔が近づき、耳打ちされた。
「キスマークだよ/////」
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