友達婚~5年もあいつに片想い~

結婚したかった

そんな大事な事を話した居酒屋タイムも、終わりを告げた。

「じゃ、気を付けて帰って。」

「あずも。」

二人背中を合わせて、今日は別れた。

「梨衣!」

あずの声に、振り返る。

「石黒の事は、もう忘れたから。」

「あず……」

「だから梨衣が、石黒と幸せになって。」

そう言ってあずは、また背中を向けた。

涙が止まらない。

あずはどんな気持ちで、今の台詞を言ったんだろう。

きっと、あずはまだ、大樹の事を好きだ。

好きじゃなかったら、“忘れたから”なんて言えない。


私は、涙を拭きながら、家に帰った。

「梨衣、お帰り……って、どうしたんだ?」

涙のあとがある私を、大樹は心配している。

「そんなに泣いて。何があった?」

そう言って、玄関で抱きしめてくれた。
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