爪先からムスク、指先からフィトンチッド
「そうか。僕は元々ハーブは好きだよ」
「そうみたいですね。薫樹さん、よくハーブティー飲んでますもんね」
そう言うと芳香の腹がぐぅっと鳴った。
「あっ、やっ、やだぁ」
赤面する芳香の腕をとり、薫樹はエスコートする。
「そこでランチにしようか」
「は、はいっ」
二人はオープンテラスのレストランで食事をすることにした。
このハーブ園で収穫されたハーブを使ったスパゲッティを注文する。香りが高いうえにカラフルな花弁も散らされ美しい。
「綺麗っ! 食べるのもったいないなあ」
そういいながらも芳香はくるくるとフォークに麺を巻き付ける。
「美味しいーっ」
トマトソースにオレガノとタイムが利いている。
「うむ、なかなか香りが高くていい。でも君の作ったパスタの方が美味しいかな」
「え? そうですか?」
「うん。なんとなく気持ちも満たされるものがある」
「そ、そういってもらえると、作り甲斐があります」
「今度、僕が作ってみようかな」
「えっ? 作るんですか? 作ったことあるんですか?」
「んー。子供の頃、学校の家庭科で確か僕は味噌汁を担当したことがあったな」
「へー。どうでした?」
「だしの香りが気に入らなくてやり直していたら、時間切れになって僕の班だけ味噌汁がなかったよ」
「ええっ!? だ、大丈夫だったんですか?」
「うん。僕の班の子らは僕以外女子で、理由を言うと『しょうがないよね』って理解を示してくれたよ。優しい子たちだったな」
「あ、はあ、なんか、そうですか……。今とあんまり変わらないんですね……」
「ん? そう?」
「え、あ、あの、香りにこだわるってところが」
「フフ、そうだね」
子供のころからモテモテですねとは言わずに芳香は残りのパスタを平らげた。
18 デート・3
食事の後、体験コーナーというところに立ち寄った。ハーブを使った石鹸づくり、アロマオイルで香水作りなど色々な講座があるようだ。
「へー、色々体験できるんですねえ。自分の好きな香水かあ」
芳香はやっと自分の匂いを改善したばかりなので、まだ香水をつけることを考えるには至らなかった。
「興味があるかい? 香水に」
「そうですねえ。自分に香水をつけるっていうことはできなかったですからねえ」
「ふーむ。君は何もしなくても、いい香りだから必要にはないが、何か好きな香りがある?」
「好きな香りかあ。なんだろ、銀華堂化粧品にいたころは会社中が香料のいい匂いがしてて、今の職場も木とか花のいい匂いがしてて――。そういえばこれが好きっていうのがないかもしれない……」
「芳香はなかなか香りに偏見がないようだな。まあ僕もそういう意味では強い好みはないな。君の香りが一番好きだが」
「えっ、ちょっ――」
足に施される愛撫を思い出し、芳香はまた赤面する。そして言わないが自分も薫樹の香りが一番好きだと思った。
土産物を販売しているコーナーに立ち寄ると、薫樹が開発したボディシート『ボディーシート イン フォレスト』が置いてある。
「へー、こんなところで売られてるんですねえー」
「ああ、本当だな」
「このシートってほんと画期的ですよね。これのおかげで私の人生変わったよなあ」
感慨深そうに芳香はきちんと並べられたボディーシートを見つめる。
「今度、それに他の香りをつけることになったよ」
「ああ、そうなんですね」
「僕はそのままで、いいと思うんだが、まあ会社の意向だしね。フローラル系と柑橘系が加わると思う」
「そっかあ。じゃ、また新しいCMもできるんですね……」
「ん? ああ、たぶんね」
「そうみたいですね。薫樹さん、よくハーブティー飲んでますもんね」
そう言うと芳香の腹がぐぅっと鳴った。
「あっ、やっ、やだぁ」
赤面する芳香の腕をとり、薫樹はエスコートする。
「そこでランチにしようか」
「は、はいっ」
二人はオープンテラスのレストランで食事をすることにした。
このハーブ園で収穫されたハーブを使ったスパゲッティを注文する。香りが高いうえにカラフルな花弁も散らされ美しい。
「綺麗っ! 食べるのもったいないなあ」
そういいながらも芳香はくるくるとフォークに麺を巻き付ける。
「美味しいーっ」
トマトソースにオレガノとタイムが利いている。
「うむ、なかなか香りが高くていい。でも君の作ったパスタの方が美味しいかな」
「え? そうですか?」
「うん。なんとなく気持ちも満たされるものがある」
「そ、そういってもらえると、作り甲斐があります」
「今度、僕が作ってみようかな」
「えっ? 作るんですか? 作ったことあるんですか?」
「んー。子供の頃、学校の家庭科で確か僕は味噌汁を担当したことがあったな」
「へー。どうでした?」
「だしの香りが気に入らなくてやり直していたら、時間切れになって僕の班だけ味噌汁がなかったよ」
「ええっ!? だ、大丈夫だったんですか?」
「うん。僕の班の子らは僕以外女子で、理由を言うと『しょうがないよね』って理解を示してくれたよ。優しい子たちだったな」
「あ、はあ、なんか、そうですか……。今とあんまり変わらないんですね……」
「ん? そう?」
「え、あ、あの、香りにこだわるってところが」
「フフ、そうだね」
子供のころからモテモテですねとは言わずに芳香は残りのパスタを平らげた。
18 デート・3
食事の後、体験コーナーというところに立ち寄った。ハーブを使った石鹸づくり、アロマオイルで香水作りなど色々な講座があるようだ。
「へー、色々体験できるんですねえ。自分の好きな香水かあ」
芳香はやっと自分の匂いを改善したばかりなので、まだ香水をつけることを考えるには至らなかった。
「興味があるかい? 香水に」
「そうですねえ。自分に香水をつけるっていうことはできなかったですからねえ」
「ふーむ。君は何もしなくても、いい香りだから必要にはないが、何か好きな香りがある?」
「好きな香りかあ。なんだろ、銀華堂化粧品にいたころは会社中が香料のいい匂いがしてて、今の職場も木とか花のいい匂いがしてて――。そういえばこれが好きっていうのがないかもしれない……」
「芳香はなかなか香りに偏見がないようだな。まあ僕もそういう意味では強い好みはないな。君の香りが一番好きだが」
「えっ、ちょっ――」
足に施される愛撫を思い出し、芳香はまた赤面する。そして言わないが自分も薫樹の香りが一番好きだと思った。
土産物を販売しているコーナーに立ち寄ると、薫樹が開発したボディシート『ボディーシート イン フォレスト』が置いてある。
「へー、こんなところで売られてるんですねえー」
「ああ、本当だな」
「このシートってほんと画期的ですよね。これのおかげで私の人生変わったよなあ」
感慨深そうに芳香はきちんと並べられたボディーシートを見つめる。
「今度、それに他の香りをつけることになったよ」
「ああ、そうなんですね」
「僕はそのままで、いいと思うんだが、まあ会社の意向だしね。フローラル系と柑橘系が加わると思う」
「そっかあ。じゃ、また新しいCMもできるんですね……」
「ん? ああ、たぶんね」