五十里せんぱい。
ちょうどそのとき、バスが到着した。


私たちはそこで自然と別れる。


「おはよー秋桜」


「おはよう澪」


私は染谷澪(そめたに みお)という幼馴染のクラスメートと一緒に通学していく。


澪は幼稚園来の親友で、一つ手前のバス停が最寄駅だ。


五十里先輩は、いつも一緒にいる久留米(くるめ)先輩と通学しているようだ。


「なによ、また五十里先輩?とっとと告りなさいよ」


中学2年生にして彼氏をゲットしている澪は強気だ。澪は彼氏にも自分からアタックしていた。


「うーん…そうだね…」


「そーよそーよ…って、えっ?」


驚いて私の方を向く澪。どこか、おかしいところがあったかと首を傾げてしまう。


「なんか、おかしい?」


「いや、おかしいもなにも…」


いつも無理無理ーとか言ってるのに、いきなりどうした!?と叫ぶ澪。


「いやさ、そろそろ頑張らないとなって…あと半年じゃん?」


「あーね。。いや、でも〜…」


「なにが」


「いや、…まあ、頑張れよ」


複雑そうな顔をした澪がぎこちなく微笑んだ。何かあったのかな、と思うも、口には出さずに車窓を眺める。


横断歩道を歩く小学生の男の子と女の子が仲良く手を繋いでいるのを見つけ、小さくため息をついてしまったことは


澪は気付いていないだろう。



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