大嫌いの先にあるもの【番外編】
「美香ちゃん!行かないで!」
自分の声で目が覚めた。目の前には黒須の顔があった。

「黒須?」
「やっとお目覚めか。もうすぐで昼だぞ」
「昼?」
「春音、昨日の夜からよく寝てたな。うん?そのきょとんとした可愛い顔は状況がわかっていないな。昨夜、僕と一緒に映画を観ていただろ?春音、映画を観ながら寝てしまったんだよ。起こしても起きないからベッドまで連れて来たが、朝になっても起きないからちょっと心配していたんだ。どこか具合でも悪いのか?」
「別にどこも悪くない」
寝すぎたせいか頭はぼんやりしているけど。
何の夢を見ていたんだろう。なんか物凄く切ないし、黒須が恋しい。

「黒須」
甘えるようにワイシャツ姿の黒須に抱き着いた。
「急にどうした?」
「なんか黒須に甘えたくなった」
「出かける準備をしていたのに、出かけられなくなるじゃないか」
「出かけちゃうの?」
「午後から講義があるからな。春音も午前中に講義があったんじゃないのか?」

えっ、今日って日曜日じゃないの?
あ、違う。まだ水曜日だった。

「なんで起こしてくれなかったのよ!」
「そんな事言ったって、声かけたけど春音が起きなかったんだよ」
「もうっ、今日はレポートの提出があったのに」
「寝過ごした春音が悪い」
楽し気に笑う黒須がなんかむかつくけど、ほっとする。
良かった。黒須がそばにいて。
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