婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 今回の反乱については、皇室からの正式発表として概ね事実を公表した。

 その際に私が魔女であることも知れ渡り、一部の人たちから反発があった。でも同時に公爵家の兄弟が証人として話してくれたおかげで、国民からは理解を得られた。

 それに薬屋の評判も良かったので、帝都の人たちには受け入れられたようだった。

 旧派の貴族たちは反乱に関わっていたとして、降爵されたり一代限りにされたりと大改変された。エルベルトとシャロンは反乱の首謀者として公開処刑され、フューゲルス公爵家は歴史からその名を消した。
 ひとり残った元公爵夫人は実家の伯爵寮に戻ったと聞いている。

 レイは旧派の掃討や事後処理が重なり、事件のあった日から三週間経つけどいまだに会えていない。

 私は薬屋と解呪の依頼をこなしながら、腹を括ったおかげか穏やかな日々を過ごしていた。

「ちょっと、ラウル! これ運ぶの手伝ってくれるー?」
「はーい、セシル様の頼みなら、なんでも聞くよ。これだけでいいのか?」
「ええ、大丈夫よ。数が多いけどお願いね」

 ラウルとはフューゲルス公爵家で助けてくれた兄弟の、鎧を着ていた兄だ。結局職を失ったから働かせてほしいとやってきた。弟のルーカスも一緒に雇い入れた。


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