婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
「……私は平民だから、皇后なんて務まらないわ。悪いけどサインできないから」
「ふむ、それについては問題ない。セシル・マックイーン侯爵令嬢。すでにお前の身分はもとに戻してある」
悪魔皇帝はニヤリと黒い笑顔を浮かべた。どうやって調べたのか私がマックイーン侯爵家の令嬢で、勘当されたことも知っていたのだ。
やっぱりそこまで調べていたのね!
ダ、ダメだわ。これは、逃げられない……!!
多分、あの時扉を開けてブレイリー団長を受け入れた時から、こうなると決まっていたのだ。
すべてをわかった上で、最初から解呪させるか妻にする気だったのだ。
「心配するな。お前に愛を求めないが、ちゃんと可愛がってやる」
いやいやいや! 可愛いがらなくていいから、ここから帰してくださいっての!!
ただの魔女に悪魔皇帝の子を産めとか、なにアホなこと言ってんの!? 頭沸いてるんじゃないの!?
どうしてこんなことになったのか、全然、まったく意味わかんないわ——!!
「待って、まずは解呪できるかじっくり試させてよ! なんで子作りと並行なのよ!?」
「ならば一カ月やる。ひと月で解呪できなければ、大人しく俺の子を産むんだな」