クリスマス

小皿に取り分けたケーキを差し出す時、夫の視線が止まった。


「その指輪」


私は、ふふ、と笑う。
いつ気付くのかと待っていたのだ。


「覚えてますか?」


そう聞くと夫は少しばかり気恥ずかしそうに頭をかいた。


「覚えてるさ。婚約指輪だろう」

「プロポーズしてくれたのが何の日だったかは覚えてますか?」


夫が照れ臭そうにするのがなんだか楽しかった。

恋人同士だった頃はよくこんな風に、照れる夫をからかっていたものだ。


「イヴにプロポーズだなんてロマンチックでしたよ」


夫はわざとらしく私をじろりと睨む。

私はそれをみてまた笑った。
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