太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「…さて、お父さんの話よね」
コーヒーを頂いていると、お母さんが切り出した。
その途端、一瞬にして昨日の緊張が呼び起こされる。
ゴクリ…
「あのね、諒くんのお母さん…佐伯 秋絵(あきえ)さんは、義信さんの実の妹さんなの」
……え?
「え…えぇっ!?」
母の口から聞かされたのは、想定外にも程がある、意外過ぎる言葉だった。
てっきりお父さんの再婚相手とか…そういう事かと思ってたから…
って、実の妹!?
じゃあ…血の繋がったおばさんてことだよね…
え?じゃあ諒と私は…いとこになるの?
そんな私の考えが見てとれたのか、母からすぐに言葉が返ってきた。
「でも諒くんとは血の繋がりはないからね、大丈夫よ」
「あ…」
そっか、そうだった。
佐伯のご両親は育ての親だったもんね。
「麻依が高校3年の時なんだけど、秋絵さんに病気が見つかってね。それが完治しない病気で…」
お母さんは言葉を切り、コーヒーを一口すすってからまた話し出した。
「秋絵さんはご主人の雅晴(まさはる)さんと結婚する時、ご両親に反対されてね。ほら、義信さんのご両親て厳しい人だったでしょ?まだ駆け出しの画家だった雅晴さんとの結婚を許してもらえなかったのよ」
「うん…」
「でも結婚する意思の固かった秋絵さんは、駆け落ち同然で雅晴さんと結婚したの。それでご両親に勘当を言い渡されてね、ご実家とは縁を切っていた状態だったのよ。…だから麻依にも話していなかったの」
「うん」
「でも雅晴さんが亡くなって、秋絵さんが一人で諒くんを育てている時に病気が見つかって…秋絵さんは兄である義信さんに連絡をとってきたの」
「お父さんとは連絡とってたの?」
「えぇ、ご両親には内緒にしていたけどね。兄妹仲は悪くなかったから」
「そうなんだ。…それで?」
「秋絵さんは諒くんのことが気掛かりでね、その時は高校2年だったし…。それに秋絵さんの病気も完治はしないものだったから、秋絵さんと諒くんをフォローするならしっかりやった方がいいね、って義信さんと話して離婚したの」
ん?
「何で離婚までするの?離婚しなくたってお手伝いとかできるんじゃないの?」
「まず秋絵さんのフォローだけど、病院の付き添いもあるし、自宅療養にしても誰かが付いていなきゃじゃない?…となれば移住になるけど、そうするとお金の問題も出てくるでしょ?まぁ離婚してた方が時間的にも金銭的にもお互い自由に使いやすいし、変に気を遣わなくていいってことで」
そうあっけらかんと話す母。
…そうだった。
母はこういう人だった。
母はサバサバしている性格で、そもそも結婚についても、会社を興していた母は、同じく会社を興していた父とも事実婚でいいと言っていたらしいが、父に〝子供のためにも籍は入れよう〞と強く言われたため、母の姓でもある羽倉籍に父が入る形となったのだという。
そして、離婚についての詳細を諒にも私にも言わなかったのは、思春期でそういうのを気にするお年頃だったから、だそう。
…なんだ…そっか…
ほ…
安心した…
「ごめんね、麻依ももういい大人になっちゃったから、逆に、言うタイミングがつかめなくてさ」
「ううん、それはいいよ。聞けてよかった」
「あ!ねぇねぇ麻依、諒くんの写真ある?私、実は会ったことないのよー」
「あるよ、えっとね…この人」
スマホを取り出して見せる。
私の部屋で撮った、諒くんが優しく微笑んでる全身の写真。
「うわー!何?背ぇ高くない?すんごいイケメンじゃないの!…ちょっと待ってて!」
「あ、うん」
バタン!
…慌ただしく出てっちゃった。
バタバタバタ…ガチャッ
あ、戻ってきた。
…松下さんと戸田さん連れて。
「麻依っ、見せて見せて諒くん!」
「え?あ…うん…」
言われるがまま手に持ってたスマホを出して見せる。
「えー!スッゴいイケメンさんですぅ!モデルさんですかぁ?」
「ねぇ麻依、背は高そうだけどどのくらいあるの?」
「183、だったかな」
「そこらのモデルさんよりイケてますよねぇ!」
「これはこれは何とも…」
誰かの指が触れたのかスッと画面がスクロールされ、まだお付きあいする前に海で撮った(りょおたん&マイマイの時の)2ショットが出てきた。
「あ!」
「きゃー、めっちゃカッコいいし、麻依さんがめっちゃ可愛いくって、チョーお似合いですぅ!」
「麻依さん…ステキすぎです…」
「え、えっと…もういいですか…?いいですよね」
「やーん、もっと見たいですぅ」
「できれば麻依さんのを…」
いやいやいや、恥ずかしすぎる…
「すみません…」
バッグにスマホをしまった。
「ああぁ」「眼福がぁ」
残念がるお二人には申し訳ないけど恥ずかしいのでごめんなさい…
「今度はお二人で来てくださいね!生2ショット見たいですぅ」
「あ…はは…来ることがあればぜひ…」
「ハイッ!楽しみにお待ちしておりますッ!」
なぜにかわいい敬礼まで似ちゃう?
ていうか、諒よりひよりんを連れてきたいかも。ふふっ
「じゃあ、お母さんの仕事もあることだし、私は帰るね」
「もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」
「うん、今度は時間作って食事しようよ」
「そうね、今日は急だったしね、じゃあゆっくりはまた今度で。あっ交通費、これ使って?」
「そんなのいいって。私だって稼いでるんだから」
「麻依さん、受け取るのも親孝行ですよ?」
「あら戸田くん、いいこと言うじゃない」
そこまで言われては…
「ありがとう、お母さん。じゃあありがたく頂くね。戸田さん、松下さん、ありがとうございました」
「はーいッ、またお待ちしてますねッ!」
「俺もまた会えるのを楽しみにしてます」
ペコリと頭を下げて会社を出た。
コーヒーを頂いていると、お母さんが切り出した。
その途端、一瞬にして昨日の緊張が呼び起こされる。
ゴクリ…
「あのね、諒くんのお母さん…佐伯 秋絵(あきえ)さんは、義信さんの実の妹さんなの」
……え?
「え…えぇっ!?」
母の口から聞かされたのは、想定外にも程がある、意外過ぎる言葉だった。
てっきりお父さんの再婚相手とか…そういう事かと思ってたから…
って、実の妹!?
じゃあ…血の繋がったおばさんてことだよね…
え?じゃあ諒と私は…いとこになるの?
そんな私の考えが見てとれたのか、母からすぐに言葉が返ってきた。
「でも諒くんとは血の繋がりはないからね、大丈夫よ」
「あ…」
そっか、そうだった。
佐伯のご両親は育ての親だったもんね。
「麻依が高校3年の時なんだけど、秋絵さんに病気が見つかってね。それが完治しない病気で…」
お母さんは言葉を切り、コーヒーを一口すすってからまた話し出した。
「秋絵さんはご主人の雅晴(まさはる)さんと結婚する時、ご両親に反対されてね。ほら、義信さんのご両親て厳しい人だったでしょ?まだ駆け出しの画家だった雅晴さんとの結婚を許してもらえなかったのよ」
「うん…」
「でも結婚する意思の固かった秋絵さんは、駆け落ち同然で雅晴さんと結婚したの。それでご両親に勘当を言い渡されてね、ご実家とは縁を切っていた状態だったのよ。…だから麻依にも話していなかったの」
「うん」
「でも雅晴さんが亡くなって、秋絵さんが一人で諒くんを育てている時に病気が見つかって…秋絵さんは兄である義信さんに連絡をとってきたの」
「お父さんとは連絡とってたの?」
「えぇ、ご両親には内緒にしていたけどね。兄妹仲は悪くなかったから」
「そうなんだ。…それで?」
「秋絵さんは諒くんのことが気掛かりでね、その時は高校2年だったし…。それに秋絵さんの病気も完治はしないものだったから、秋絵さんと諒くんをフォローするならしっかりやった方がいいね、って義信さんと話して離婚したの」
ん?
「何で離婚までするの?離婚しなくたってお手伝いとかできるんじゃないの?」
「まず秋絵さんのフォローだけど、病院の付き添いもあるし、自宅療養にしても誰かが付いていなきゃじゃない?…となれば移住になるけど、そうするとお金の問題も出てくるでしょ?まぁ離婚してた方が時間的にも金銭的にもお互い自由に使いやすいし、変に気を遣わなくていいってことで」
そうあっけらかんと話す母。
…そうだった。
母はこういう人だった。
母はサバサバしている性格で、そもそも結婚についても、会社を興していた母は、同じく会社を興していた父とも事実婚でいいと言っていたらしいが、父に〝子供のためにも籍は入れよう〞と強く言われたため、母の姓でもある羽倉籍に父が入る形となったのだという。
そして、離婚についての詳細を諒にも私にも言わなかったのは、思春期でそういうのを気にするお年頃だったから、だそう。
…なんだ…そっか…
ほ…
安心した…
「ごめんね、麻依ももういい大人になっちゃったから、逆に、言うタイミングがつかめなくてさ」
「ううん、それはいいよ。聞けてよかった」
「あ!ねぇねぇ麻依、諒くんの写真ある?私、実は会ったことないのよー」
「あるよ、えっとね…この人」
スマホを取り出して見せる。
私の部屋で撮った、諒くんが優しく微笑んでる全身の写真。
「うわー!何?背ぇ高くない?すんごいイケメンじゃないの!…ちょっと待ってて!」
「あ、うん」
バタン!
…慌ただしく出てっちゃった。
バタバタバタ…ガチャッ
あ、戻ってきた。
…松下さんと戸田さん連れて。
「麻依っ、見せて見せて諒くん!」
「え?あ…うん…」
言われるがまま手に持ってたスマホを出して見せる。
「えー!スッゴいイケメンさんですぅ!モデルさんですかぁ?」
「ねぇ麻依、背は高そうだけどどのくらいあるの?」
「183、だったかな」
「そこらのモデルさんよりイケてますよねぇ!」
「これはこれは何とも…」
誰かの指が触れたのかスッと画面がスクロールされ、まだお付きあいする前に海で撮った(りょおたん&マイマイの時の)2ショットが出てきた。
「あ!」
「きゃー、めっちゃカッコいいし、麻依さんがめっちゃ可愛いくって、チョーお似合いですぅ!」
「麻依さん…ステキすぎです…」
「え、えっと…もういいですか…?いいですよね」
「やーん、もっと見たいですぅ」
「できれば麻依さんのを…」
いやいやいや、恥ずかしすぎる…
「すみません…」
バッグにスマホをしまった。
「ああぁ」「眼福がぁ」
残念がるお二人には申し訳ないけど恥ずかしいのでごめんなさい…
「今度はお二人で来てくださいね!生2ショット見たいですぅ」
「あ…はは…来ることがあればぜひ…」
「ハイッ!楽しみにお待ちしておりますッ!」
なぜにかわいい敬礼まで似ちゃう?
ていうか、諒よりひよりんを連れてきたいかも。ふふっ
「じゃあ、お母さんの仕事もあることだし、私は帰るね」
「もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」
「うん、今度は時間作って食事しようよ」
「そうね、今日は急だったしね、じゃあゆっくりはまた今度で。あっ交通費、これ使って?」
「そんなのいいって。私だって稼いでるんだから」
「麻依さん、受け取るのも親孝行ですよ?」
「あら戸田くん、いいこと言うじゃない」
そこまで言われては…
「ありがとう、お母さん。じゃあありがたく頂くね。戸田さん、松下さん、ありがとうございました」
「はーいッ、またお待ちしてますねッ!」
「俺もまた会えるのを楽しみにしてます」
ペコリと頭を下げて会社を出た。