太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
ホテルから徒歩と電車で30分で着いた、お母さんの会社。

社屋に入る前に、待ち合わせしてたひよりん&翔琉くんと合流した。

「麻依先輩~!」

「ひよりん、翔琉くん、わざわざありがとう」

「いえ、私達の方こそ押し掛けてしまってすみません。あっ!麻依先輩、それってもしかして…」

ひよりんが会って早々に私の指環に気付いてくれた。


「うん、昨日諒からもらったの」

「じゃあプロポーズ…」

「えへへ、うん…」
なんか照れちゃうな。

「わぁ!おめでとうございますぅ!翔琉さん、麻依先輩と諒さんがご結婚ですよぉ!あぁぁ嬉しすぎて涙がぁ…」

ひよりんが私の手を握って、涙ながらに言葉をかけてくれる。

「ハハハッ陽依、気が早いよ。泣くのは結婚式の時だって。でも麻依さん、おめでとうございます。諒さんもよかったっスね」

翔琉くんもニカッと笑って祝福してくれた。

「ありがとう、翔琉くん」
「ありがとな、翔琉」

「ほら陽依、これから人に会うんだから、そろそろ泣き止まないと。まぁ嬉し涙だし、泣くなとは言わないけどさ」

「はいぃ…」

翔琉くんがハンカチでひよりんの顔を優しく撫でている。


そういえば2人のプライベートの光景って殆ど見たことがないなぁ。
仕事では全くといっていいほどイチャイチャしたところも見ないし。

翔琉くんもひよりんの隣だと優しく頼もしい男の子なんだなぁ…
しっかり者のひよりんも翔琉くんの前では可愛い女の子で。

でも2人っきりの時はまた違うんだろうな、ふふっ。


なんて考えてたら、諒から突っ込まれた。

「何考えてんの?また俺のこと?」

ニヤニヤして聞いてくるものだから「えっ?違うよ」って事実を述べた。

「違うの!?」

「うん」

「ねぇ、何でそんないい顔して俺以外のこと考えてんの?」

「ハハハハ!諒さん、それはガキっぽすぎますって!」

「え…末っ子の翔琉にガキっぽいって言われた…まーいー…」
と、諒がクルリとこっちを向いた。

「はいはい、諒は子供じゃないもんねー」
って言いながら、子供にするようにその頭をイイコイイコする。

「ん…ありがと」


「うふふふ、ホントに諒さんと麻依先輩はいいコンビですぅ」

「え、コンビなんだ」
真顔で言う諒の腑に落ちない言い方にみんなで笑った。


「陽依、諒さんのお陰で涙も乾いたな、ハハハ」

「あっホントだ。ありがとうございます、諒さん」


「いや何で俺のお陰なの」と言う諒をなだめながら、4人でお母さんの会社の中へ入った。



「こんにちは~」

ガラスの扉を押し、みんなが中に入ったのを確認すると、受付に声をかけた。

すると、「はーい」と1階の奥から声がし、すぐに松下さんが顔を出した。


「あっ、麻依さん!いらっしゃいませ!お待ちしてましたぁ!あっ、そちらが諒さんですね!…うん、やっぱお似合いですぅ!萌えますぅ!」

松下さんが目をキラキラさせて言う。

「ふふっありがとう。母はいるかな?」

「ハイッ、少々お待ち下さいねッ」

と言うと、松下さんは2階に上がっていった。



「なんか陽依っぽい人だな…やたら明るいけど」

「だよね!私もそう思って、ひよりんとご対面させてみたかったの。ふふっ」


「うーん…私、初対面ですよねぇ?」

「なに陽依、知り合い?…なワケねーよな…。それとも何気に似てて親近感わいたとか?」

「ふふ、確かに親近感はありますぅ、うふふ」


そんな話をしていると松下さんが「社長はすぐに参りますのでお部屋でお待ち下さいッ」と社長室へ案内してくれたので、私達はひとまずソファに腰かけて母を待つことに。



「マジで麻依さんのお袋さんて社長なんスね…麻依さんは社長令嬢スか…すごいスね」

「うん、麻依のお母さんはすごい人だよ。お父さんも社長だしね」

「そうなんスか!? 何の会社なんスか?」

「んー何だっけ、IT関連?アプリの開発?だっけ」

「そうみたいだね。俺も詳しくは聞いてないけど、ヒット飛ばしたのもあるみたいだよ」

「へー」

「…何で麻依さんより諒さんの方が詳しいんスか…」

「え?あはは、ちょっとね」


そこへ、カッカッカッという足音が聞こえてきたかと思ったら勢いよくドアが開いた。
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