太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

ナナさんとエマさんからのお説教/side諒

あれから麻依と仕事以外の話をしてなくて…

いや、俺が『話せるようになったら連絡して』つったんだけど…

俺が我慢できなくて電話してみたら…

ナナさんとエマさんが出た。


…で、迎えに来るかって問われたらもちろん行くわけで、俺は今が何時かなんて関係なく、教えてもらった店に来た。


ハワイアンバー…外観からしてここだな。
名前も『ラニカイ』だから間違いない。



「ナナさん、エマさん、すいません、お待たせしました」

「あっ、来た来た~!遠くまでお疲れ~。車はどした?」

「路駐できないんで近くのパーキングに」

「おっ、えらーい!じゃ、とりあえず座って」

え?座る?

「あ、はい…」

すぐに麻依を連れて帰るつもりでいたから、座れと言われて少し戸惑いつつも小上がりの席に上がると、麻依が壁に寄り掛かって眠っているのが見えたので、その隣に座った。

…こんな可愛い顔をさらけ出して…

俺以外の男に見られるのが嫌で、俺にもたれ掛かるように体勢を変えた。

「…ん……諒…」

目を開けてはいないが、麻依が俺の名前を微かに囁いて、俺の胸に手を添えて寄りかかった。

あぁ…それだけなのにすげぇ嬉しい…

思わず、ぎゅうっと抱きしめたくなったけど今は我慢して、寄りかかる麻依の体が倒れないように優しく抱えた。


「隣に来たのが諒くんてわかったんだ!…やっぱ諒くんが好きなんだね」

「マイがうちらの前で寝ちゃったの、初めてなんだ。今日はいつもより少しペース早くて多く飲んではいたけどさ、たぶん疲れてたんじゃないかな、精神的にも」


「で、話は聞いたよ?…なに、昔の知人だって?でも大事な場面でさぁ…言い訳にもなんないよ?」

「あ…はい…」

ここでも説教くらうのか…
でもしょうがないよな、俺が悪いんだし。


「そうそう。結婚式の相談しに行ってんのに奥さんを置いてスタッフの女と行っちゃうんだもん。てかさ、その女も女だよね。マイに何のマウント取りたかったのか知らないけどさぁ、新婦を無視して式の相談とかありえないからね」

…ミキが麻依にマウント?何のために?

「客は旦那の諒くんだけじゃないの。奥さんのマイもいた上で、仕事の話をすべきなの。しかも私情で新郎とベッタリなんて、接客業失格だね」

…北条さんもそう言っていたな。
〝クビ〞ってのは行き過ぎかと思ったけど、一度でもそれほどの事なら何度もやってるのなら当然なのか…?


「で、諒くんはどうするつもり?その女に乗り替えてそいつと結婚するの?」

「まさか!全くそんな気ありませんよ!ミキはただの昔の知り合いなだけで、好きでも何でもないです。俺が好きなのは麻依だけですから」

「でもさ?ほったらかしにしちゃったのは事実じゃんね?ねーエマぁ、ファンクラブでマイがフリーになったって、マジで言っちゃう?」


「…ファンクラブ?…」

するとナナさんとエマさんが顔を見合わせてニタリと笑った。

何だよ…
何か聞くのがおっかねぇんだけど…

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