太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
第九章 夏の輝きは二人の人生を導く一筋の光

結婚式まであと少し!/side麻依

4月から福田くんがソレイユの一員となり、5月の半ばを過ぎる今ではすっかり他のスタッフともいい関係を築いている。

仕事は元々真面目にやっていたらしく、ソレイユでの働きぶりは皆が認めている。
それに、彼の人付き合いの上手さは天性のものだと思う。





お斎も終わり、お通夜もない今日は、仕事も穏やかに終われそう。

「お疲れっス」
「お疲れー」

フロントにやってきた、今日の施行担当の翔琉くんと、研修でサブとして一緒に行動していた福田くん。

「翔琉くん、福田くん、お疲れ様。あ、福田くんは明日から担当するんだって?」

「おぅ、よろしくな」

「こちらこそ。二人ともコーヒー飲んでく?」

「あざっす」
「サンキュー」

二人にコーヒーとお茶菓子を出す。

「昨日、前の支配人の中沢さんご夫婦が来られてお菓子頂いたの」

「このお菓子、奥さんによくもらってたっスね」

「ふーん、俺は会ったことないけど、いい人みたいだよな」

「そうなの、すごくいい人だよ、ご夫婦で」

「何か用でもあったんスか?」

「ううん特には。結婚式が近くなってきたからって寄ってくれたみたい」

「そいやもうすぐっスよね」

「うん、ふふっ」

「諒って今日はプロジェクトだったか」

「うん、明日もね」

「ふーん、大変だな、結婚式前なのに忙しくてな」

「まぁ、ほとんど準備は終わってるしね、大丈夫だよ」

「そっちが忙しけりゃ担当の仕事は俺らに頼れよ?つってもまぁ俺はまだ独り立ちしてねぇけど、ははは」
「そっスよ、俺らに頼ってください」

「ありがとう。諒もいい仲間に支えられて幸せ者だね、ふふっ」

「俺も陽依も楽しみにしてますから、結婚式」
「おぅよ、もちろん俺もな」


コンコン
「俺も楽しみにしてるし、久しぶりにワクワクしてる」

フロント事務所の入口から聞こえた上原さんの声。

「あっ上原さん、お帰りなさい。お疲れ様でした、お時間あったらコーヒーいれますよ?」

今日は諒の代わりに支配人代理として朝から1社に直行していた上原さん。

「ありがとう、頂こうかな」

「修さん、何がワクワクなんスか?」

「あぁ、久しぶりのコスだからさー」

「そこっスか?」

「翔琉、コスって?」

「智さんは知らないんでしたっけ。修さんは夫婦でコスプレイヤーなんスよ」

「コスプレイヤーって、アニメとか何かのキャラのやつとかの?」

「そう、今は俺らはオリジナルしかやらないけどね」

「上原さんの『オーサ様』って、すっごい素敵でカッコいいんだよ!」
コーヒーを上原さんの前に置きながら言う。

「え、オーサ様って、調理のカナさんが見せてくれた、中世ヨーロッパの貴族みたいな、あの人?あれ、修さんなんすか?」

「うん、俺」

「マジかぁぁ!すげーカッコいいっすね!俺もコスしてみてぇ!」

「え、着ぐるみ着るの?」

「違うわ!」

「ロボット?」

「違うわ!つか何で俺はそーゆう扱いなんだよ!」

「いや何か福田くんがコスプレって想像できなくて」

「いーもん、麻依なんかプンだ。翔琉、俺らもコスやりてぇな!」

「変身ヒーローとかどうっスか?」

「だから何でそっち系なんだよ!…つか何で修さんが結婚式でコスやるんすか?」

「あ、私達がお願いしたの、式の司会をしてもらいたくて。その時に普通のスーツとかだと目立たないよね、って話からコスプレになったの」

「え、オーサ様が結婚式にいるの?」

「いやさすがにオーサはちょっとね。二人を引き立てる様な落ち着いたのにするよ。衣装はカナがはりきって作ってるから麻依さんも諒も楽しみにしてて」

「面倒なことをお願いしちゃってすみません。でも楽しみにしてますよ、諒も私も、ふふっ」

「んじゃ俺らもコスで出席だな!ミノンちゃんのグループの衣装とかどうだ?翔琉」

「…俺らがアイドルコスやるんスか…?陽依がやるならまだしも…」

「おぅよ」

「いや…結婚式のお呼ばれなんスから…それはせめて二次会か三次会っスよね…」

「そっか、それもそうだな。じゃあ二次会の出し物にするか」

「つか俺、巻き込まれるんスか…」

ふふっ、翔琉くんも福田くんにかかるとタジタジだなぁ。

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