太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
エピローグ

カチャリ

建てたばかりの、まだ新しい匂いのする家の玄関を開けると聞こえる、愛しい声。


「旭(あさひ)~、パパが帰ってきたよ~」

「ぱーぱ?」

「麻依、あーくん、ただいまー!パパだよー」

「ぱーぱ!」

俺を見つけて、玄関のベビーゲートに向かって走ってくると、屈託のない笑顔でぷくぷくした両手を伸ばしてくる旭。
ひょいと抱っこするとキャッキャ喜ぶのがマジかわいくてたまらん。

「おかえり、諒。お疲れさま」
仕事から先に帰宅していた麻依の出迎えを受ける。
何年経っても嬉しいんだよな。

「ただいま、麻依」ちゅ
…ってするのは結婚前の同棲の頃からずっと変わらない。

「ごはん、もうすぐできるよ」

「ね、あれ言って?」

「ふふっ。…ごはんにする?お風呂にする?それとも…私?」

「もちろん麻依!」

「ふふ、ありがと。でもごはんにしよっか」

「んー残念!でもイチャイチャもしたいな」

「じゃあ…旭を寝かしつけた後にね」
未だにコソッと恥ずかしそうに言う麻依が可愛いんだよな。

「ん、約束だよ!絶対だからね?」

「あはは、諒ってばそんなに念押ししなくても」

「だって…マジでイチャイチャしたいんだもん」

「いーちゃ?」

「ほらほら、旭が変な顔してる。パパは何を言ってるのかなー?って」

「おっと、覚えちゃマズいよな。あーくん、あっちでパパと遊ぼっか。車がいいか?」

「ぶーぶー!」

「じゃあ、ごはんの用意ができたら呼ぶからねー」

「はーい」


麻依と結婚して3年目。

麻依は相変わらず可愛くて優しくて、毎日愛しく思ってる。

息子の旭(あさひ)はもう少しで1歳半になるかわいい盛り。
結婚式の翌月に新婚旅行で行った沖縄のリゾートで授かった、二人の大事な宝物。
いわゆるハネムーンベビーだ。


麻依から「赤ちゃん、できたみたい」って言われた時は涙が出るくらい嬉しかったし、出産の立ち会いの時はすげぇ泣いた。
助産師さん達に「ここまで泣く旦那さん、初めて見ましたよ」って言われたほど泣いた。


修さん&カナさん夫婦に聞いたり、プレパパ教室とかもバンバン行って、妊娠から出産についての他、赤ちゃん育児のいろはを学んできたおかげで、麻依の力になれることが増えたし、何より育児が楽しくて仕方ない。

そして今、麻依のお腹にはなんと!二人目の大事な宝物がいるのだ!

だからイチャイチャもあまり無理させられないんだけど…でも麻依が可愛くてしかたないんだよな。


日野の母さんはちょくちょく遊びに来てくれて、旭に「あーくんはパパの小さい頃にそっくりだねぇ」ってよく言う。

それを麻依も嬉しそうに聞いて「旭もパパみたいにカッコいい男の子になるのかな~?」なんて言ってくれるから、嬉しくてニヤニヤしちゃうんだよな。


ちなみに、もうあまり長くないと言われていた佐伯の母さんは、なんと昨年退院して、今はまた自宅療養に戻ったんだ。
しかも入院前の自宅療養時より状態がいいらしい。

麻依と俺の結婚と旭の誕生をすごく喜んでくれた母さん。
医者の先生が「嬉しいことが続いて免疫力が上がったのかねぇ」なんて冗談混じりに言ってたけど、あながち冗談ではないかもな。

近いうちにまた旭を連れて、母さんと義信さんのとこに遊びに行こう。
更に元気になるはずだ。


あとは…そうそう。
翔琉と陽依さんが今年結婚したんだ。
結婚する前、あの仲良しほんわかカップルにもいろいろあったんだけど、無事に結婚できてよかったよ。

その他にも俺達の結婚式に来てくれた人達の中でカップルがいくつかできてたのには驚いた。
みんなうまく行くといいな。


たまに「結婚するまでが楽しい」とか「子どもを産んだら妻を女として見れない」って言葉を耳にするけど、俺には理解できない。

だって俺の麻依への愛は、結婚と旭の出産を経て更に大きくなっているから。


 一人の働く女性としての麻依
 俺の妻としての麻依
 旭の母親としての麻依

どの麻依も、俺にはたまらなく魅力的なんだ。



麻依

俺と出逢って
俺の仮面を壊して
俺の人生に光を照らし、
導いてくれたあなたは


俺の太陽


この恋は
太陽がくれた初恋


俺は

一生
心から求め続け

一生
愛し続ける


だからずっと隣にいてよ、麻依

溺愛するから、覚悟して?






*** end ***

『太陽がくれた初恋 
 ~溺愛するから、覚悟して?~』


ここまで読んでくださった皆様、
本当にありがとうございました!!

しかし、お話はまだまだ続きます!(笑)
――by紫由布
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