太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
…てか、さっき俺の名前を出してたよな…
え、マジで何者なんだ…?


「というか、そもそもそのプロポーズってのも……おっ、そのキーパーソンが来たんじゃないか?」

後ろを振り向いて言う手嶋さんの声に月乃さんが席を立ち、急ぎ足でこのスペースを出た。



「佐々木くん、こっちよ」

「ごめん靖子、だいぶ遅れて……えっ、靖子…この人達は…?」

佐々木さんがパッと目についた手嶋さんや記者の男を見て驚いている。

「昨日は言ってなかったけど、会って欲しい人がいるのよ」

そこで俺は身を乗り出して顔を見せた。
「佐々木さん、お久しぶりです。佐伯です」

「…さ、佐伯 !?…え、会って欲しいって……どういう事?…靖子、佐伯とは別れてるはずじゃ…」

佐々木さんは俺の他には目もくれず、ここに俺がいることにただただ驚き…焦っている様に見えた。


月乃さんが隣に座らせ、佐々木さんがコーヒーをオーダーした所で、俺の隣に座る麻依を「俺の妻です」と紹介した。

麻依が挨拶し、俺と顔を見合わせてふっと二人で微笑むと、佐々木さんはほっとした表情を見せた。

「そうか、結婚してたんだな…おめでとう。奥さん、綺麗で優しそうな人だなぁ、佐伯とお似合いじゃないか。今はどこにいるんだ?仕事は何してるんだ?」

佐々木さんは、俺が既婚であることに安心したらしく、昔のように気さくに話し掛けてきた。

「佐々木さん、近況をお話しする前にお聞きしたいことがあるんです。…来て早々いきなりで申し訳ないんですけど、本当の事を教えてほしいんです」


「本当の事って?」
来たばかりの熱いコーヒーを啜りながら言う。


「『福岡さんがモデルとして成功したら必ず迎えに行く』とは、誰の言葉なんですか?」

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