太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
ひよりんが「午後の始業前には戻りますッ」と可愛い敬礼をしてフロントを出ていったところに、ちょうど支配人がやってきた。

「ひよりん、今出掛けたところです」

「そうでしたか。ちょうどよかった。…あの…本当に色々とありがとうございました。シャツも洗濯してくれたんですね」

「あっ!勝手にごめんなさい」

「いえ…嬉しかったです。何から何までしていただいて…。おかげですっかり良くなりました」

「そうですね、顔色が良くなってるので安心しました、ふふっ」

「…いつから気付いてたんですか、僕の体調」

「あ…車で送ってもらってる時にそうなのかな、って…」

「そうでしたか…すみません、自分の体力を過信してたみたいです」

「それだけ一生懸命だったってことですよね。みんなそれはわかってますよ、ふふっ」

「羽倉さん……ありがとうございます。あ、借りたスウェットは洗ってお返ししますね。あと、今度お礼に何かご馳走させて下さい。…迷惑でなければ」

「いえそんな、スウェットも置いててもらってよかったのに。お礼もそんな…余計に気を遣わせてしまってごめんなさい。あの、ではほんとによろしければ…はい」

「ふ、よかった。ありがとうございます。それで、コレは俺の番号とメールアドレスです。いらないかもしれないけど、食事のお誘いの時とか連絡取れるように。それで、もしよければ羽倉さんのメールアドレスも聞いていいですか?迷惑でなければ」

支配人が一枚の紙を私に差し出した。

えっ、支配人の連絡先!?
もらっちゃっていいの?

何だろう、すごく嬉しい…

「ありがとうございます!」
連絡先の書かれた紙を両手で受け取った。

あっそうだ、私のアドレスだったね。
迷惑だなんてそんなこと!

「はい、私のでよければ」

と、スマホに私のアドレスを出して見せた。

それを見ながら支配人が自分のスマホに入力してくれてる。

…何でこの普通によくあるやりとりが、こんなに嬉しいんだろう…

「あっ、電話番号も見ますか?」
あの紙、置いてきたかもしれないし…って思ったからそう言ったんだけど。

「いえ、今朝頂いたのを大事にしまってありますから大丈夫ですよ」

え…大事にって…
そういうこと言われると…ますます嬉しくなってしまう…

「じゃあ…いつにするかはメールでやりとりして決めましょう」

「はい、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします。…ではそろそろ僕も事務所に戻りますね」

「あっはい。わざわざありがとうございました。あの、今日はまだ無理しないでくださいね」

「ふ、心配してくださってありがとうございます。すごく嬉しいです。でも、無理して倒れたら…また看病してくれます?」

ななななにその質問!?

「…わざと倒れる様なら看病しませんよ?だからちゃんと治してくださいね、ふふっ」

「ハハハ、ですよね。はい、ちゃんと治します」

そう言って支配人はフロントを後にした。


…はぁ…顔…赤くなってなかったかな…

なんかすごく…お話しするのが嬉しくてドキドキした…何だろうこれ…
枯女が極上イケメンくんに仲良くしてもらって…舞い上がってる!?
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