太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

この感情は?/side麻依

支配人を置いて出てきちゃったけど、大丈夫かな…
急に悪化してたりとかしないかな…

支配人の番号とかメールアドレスとか知らないから聞けないし…

あー、支配人のも聞いておけばよかった…
イヤ、他意はなくて、本当に心配で…
だってそれ以外で連絡取り合うなんてまずないでしょ…
せいぜい仕事の連絡くらいで…

支配人だって私の連絡先を知ったところで、体調が戻れば特にいらない情報だなって思うよ、きっと。

…だったらちょっと悲しいけど…

って頭の中で私がペラペラベラベラと喋りまくっている。
ネガティブになってきたので、それを打ち切ることにした。


「ひよりん、昨日は二次会楽しかった?」
制服に着替えながら話しかける。

「ハイッ、カラオケに行ったんですけど、すごく楽しかったですぅ」

「高見くんも一緒だったよね?」

「エヘッ、そうなんですぅ、カラオケで隣に座らせてもらっちゃって、うふふ」

「そっかー、それは楽しかったみたいだね、ふふっ」
ひよりんのほっぺの赤い笑顔に私も嬉しくなる。

「さーて、今日は全部署お片付けだもんね、頑張ろう!」

「ハイッ」
ひよりんの可愛い敬礼に心が弾んだ。

上原さんと高見くんには『支配人から、体調が悪くて仕事を休むと連絡があった』と伝えておいた。

「支配人、頑張ってたもんな」
「疲れて当然っスよね。今日はしっかり休んでほしいっスね」
と2人が言ってくれたことが嬉しかった。

ひよりんと私は、館内をくまなく見て歩き、忘れ物や落とし物がないかチェック。
その後、外部の清掃業者さんにお掃除に入ってもらい、私達は別の業務に取り掛かった。

お昼になり、会社に来る途中で買ってきたパンとカップスープを取り出した。

「麻依先輩、今日はパンなんですね、うふふ、おいしそう」

「うん、たまにコンビニのパンが食べたくなるんだよね。このパン、新発売みたいだから買ってみたの」

カップスープにお湯を注ぎながら答える。
まぁ全くの嘘ではないんだけど、ほんとの理由は言えないからね。

「どうですか?おいしいですか?」

「うん、メロンパンとホイップクリームとあんこがいい感じ。まぁ私は好きだけど、好みが分かれるかもね、ふふっ」


そこへ聞こえてきたノックの音と声。

コンコン
「お疲れ様です」

その声の主は…支配人。

「あっ、お疲れ様です。…体調…どうですか?大丈夫ですか?」
てっきり1日休むと思ってたから…驚いちゃった。

「えぇ、ご心配おかけしてすみません。だいぶ良くなったので、一応顔だけでも出しておかないとと思って」

ん…顔色はよさそう。
だいぶ回復したみたい。
…安心した…

「それならよかったです」

「あ、羽倉さん、聞きたいことがあるんですけど、食事が終わったらでいいので少しお時間頂いてもいいですか?」

「あっハイ、大丈夫ですよ。えっとどちらに…」

「あ、私これから銀行に行ってくるので、ここ使って下さい」

「ひよりん、気を遣わなくてもいいよ?」

「いえ、元々そのつもりだったので大丈夫ですぅ」

「ありがと、ひよりん」
「松島さん、すみません」

「いえいえ、お気になさらずですぅ、うふふ」
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