太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
それから…
4人でランチをとると、午後は砂浜で4人で遊んだり、俺は翔琉と泳ぎやビーチバレーで対戦したり、麻依さんと陽依さんは浅瀬でキャッキャと水遊びしたり(その間、何度もナンパされてたんだが、その都度、俺と翔琉が全速力で駆け寄ってナンパ男を蹴散らした。ナナエマコンビが先に来て男らに牽制してたこともあったけど)と海水浴を楽しんだ。

少しの間、翔琉と陽依さんが2人で遊んだあと、俺と麻依さんに「そろそろ俺ら、帰りますね」と声をかけてきた。

「あぁ、俺達はまだこっちにいるから、シャワーとかゆっくり使ってよ」
「うん、そうして。翔琉くん、ひよりん、今日はありがとう。楽しかったよ。気をつけて帰ってね」

「あざっス!じゃあ、俺らが使ったのは返しとくんで」

「あぁ、ありがとう」

「諒さん、マイマイ、私も楽しかったですぅ!ありがとうございました!」

笑顔で一礼した陽依さんを、翔琉が「行こうか」と促して、2人は海の家に戻っていった。



その後、麻依さんと2人で話していると、ナナエマコンビがひょっこりやってきた。

「マイマイ、今度遊ぼうよ、一緒に飲みとか行きたいなー。あ、佐伯くんもよかったら一緒に」
なんて俺はついで扱い。

ま、それも〝もう男としてみてないよ、狙ってないよ〞っていう彼女らの気遣いというか意思表示なんだろう。

それにしても麻依さんは同性にも好かれるんだなぁ、って惚れ直した。


麻依さんと連絡先交換した2人は「今日会えてよかった!楽しかった!またね!」と笑顔で俺達から離れていった。


それから、海の家から借りたテントなどを返したり、少しずつ帰る支度をしていると、気付けば翔琉たちがここから離れて1時間半。
さすがにもう部屋を出ただろう。


「そろそろ戻ろうか」

荷物を持ちながら言うと「あ、ちょっと待って」と麻依さんが寄ってきた。

「何かあった?」
「あの子…」

麻依さんが指をさした先に、幼い男の子が砂浜から波打ち際に向かって行くのが見えた。

「周りを見ても親御さんぽい人が見当たらなくて…危ないよね」

「そうだな…ちょっと見てこよう」
確かにこの状況は危険だよな。


まずは麻依さんがその子に近づき、声をかけて海から砂浜の方に来させる。
そして名前を聞き出し、スマホでその子の写真を撮ると、子どもを麻依さんに託した。

俺は海の家に行き、迷子の連絡をするとまた砂浜に戻り、あの子の親を探しまわった。


…少し経った頃ようやく両親が見つかり、俺が先に砂浜に戻ると、麻依さんは敷物に座ってその子を抱っこしていた。

「麻依さん、両親が見つかったよ」

「諒くん!ありがとう。大変だったでしょ…」

「…麻依さんこそ。1人で子どもみるの大変じゃなかった?」

「ううん…平気」


さっきと変わらないはずなのに…
何故か麻依さんの表情というか雰囲気に色気を感じ、ドクリと反応する。
しかし、今はそんな場合ではないと、その気持ちを振り払った。

…よく見ると、麻依さんの胸元から子どもの体にバスタオルがかけられている。

「不安になったみたいで、抱っこしたら泣きながら寝ちゃったんだ」

「そっか…ごめんな、1人にしちゃって」

「ううん、それは大丈夫だから。諒くんこそあっちこっち行かせてしまってごめんね」


それからすぐに俺達のところへ駆け寄ってきた両親に、それまでの経緯を話した。

麻依さんは「ちょっと水着を握って寝ちゃったから」と、俺と父親から少し離れた所で男の子を母親に渡してた。

両親にはすごく感謝と謝罪され、何かお礼をと言われたが、俺達は丁重にお断りし、その場を後にした。



そして、ようやく部屋に戻った俺達。

シャワールームは1つなので、麻依さんに先に使ってと言うが、時間がかかるから先に使ってと言われた。

いや、ダメでしょ。
きっとこう言わなきゃ先に使ってくれないよな。

「じゃあ…一緒に使う?」

「さささ先に使わせてもらうねっ」
バタンッ


クッ…単純。
真っ赤な顔して…
可愛すぎるんだよな、ホントに。

< 60 / 268 >

この作品をシェア

pagetop