太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

「すいませんね、うちのスタッフの一大事と聞いて飛んで来たんですよ、横田副支社長」


……この声……諒くんだ……



「何だ、佐伯まで来てんのかよ。ていうか一大事って何だよ。羽倉ちゃんは俺と一緒に過ごすつもりみたいだけど?」

「っか、帰ります!」

あっ!声が出た!


「あ?休みたいんだろ?眠そうだもんな」

「いえ、全く眠くありません」

「…は?アイス食っただろ?空になってたじゃん」

「ご自分で言ってること、おわかりですか?アイスと眠くなるのと、どういう繋がりがおありで?」

「!…チッ、ったく…つべこべ言わずについてくりゃいいんだよ!」

まだ掴まれたままの手首がグイッと引っ張られて、ひよりん共々連れていかれる!

…と焦った瞬間。

「いてぇっ!」

という声と同時に、私の手首が自由になり、その反動でよろけてしまった。


「麻依先輩!」
「麻依さん!」

ひよりんと翔琉くんが咄嗟に抱えてくれて、私は倒れずに済んだ。

「大丈夫ですか!?」

「うん、大丈夫…ひよりん、翔琉くん、ありがとう」

2人を見たら安心して、自然と笑顔になれた。

「いいんです!」
「何言ってんスか、水くさいっスよ」


手首を擦りながら顔を上げると、諒くんが横田さんの腕を捻り上げていた。


「いてぇな!佐伯!何すんだよ!」

諒くんがぶっきらぼうに手を離した。
「羽倉さんが嫌がってましたから」

「俺を誰だと思ってんだ?副支社長だぞ!?社長ともそれなりの付き合いがあるんだぞ!?」

「俺は社長の甥ですけどね」


「…は?」


「森田社長は俺のおじさんだと言っているんです。ご存知なかったですか?」

「な…何だと……まさかこの事をバラす気か!?」

「さぁ…どうしましょうかね」

「佐伯…キサマ…」


「あぁそうだ。それより、よかったら羽倉さんや松島さんの代わりに俺の知り合いを紹介しますよ。…若くて可愛い女性、好きなんですよね?」

「紹介…?しかも何でそんな上玉を俺に紹介するんだよ…」

「その人、実はいま下の階のバーにいるんですけど、俺は相手できなくて、ちょうど俺も困ってたんです」

「へぇ…余りモン同士って訳か」

「多分…彼女は羽倉さんや松島さんよりあなたの好みだと思いますよ。それに副支社長はモテる方ですし…彼女も食い付くんじゃないかな」

諒くんが、何か企みを持っているかのような…ワルい顔。
こんな諒くん、初めて見る…


「フン…そんなに言うなら見てやるよ」

「ではご案内します。…あ、翔琉、羽倉さんと松島さんと1階のロビーで待っててくれるか?」

「了解っス」

「では副支社長、行きましょうか」


私達を置いて、諒くんと横田さんはエレベーターで降りていった。

「さ、横田は諒さんに任せて、俺らは1階で待ちましょ」


諒くん、私には何がなんだかわかってないのですが…?

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