本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
愛しくてすれ違う
秋が深まり、鍋物料理が恋しい気候が続いている。

時刻は二十二時。

水玉模様のパジャマの上にカーディガンを羽織った真琴は、ふたり用サイズの土鍋をコンロから下ろしてダイニングテーブルに置いた。

これから帰宅する修平の夕食である。

丸鶏を簡単に捌ける彼なのに、面倒くさがって味噌汁さえ火にかけてくれないので、今は真琴が寝る前に温め直している。

リビングの照明を小さくして廊下に出ると、自分の部屋に入る前に静かな玄関を見た。

(今日も寝る前に会えなかった。毎日遅くまで働いて、体を壊さないか心配)

修平の体調を気遣うと同時に寂しく思う。

花福の仕事は車の運転もするので寝不足は極力避けたいところ。

修平の顔を見て『お帰りなさい』と言いたい気持ちをグッとこらえ自室のドアノブに手をかけたら、玄関の電子錠が開錠される音がした。

(帰ってきた!)

玄関まで走って出迎えると、入ってきた修平が目を細めた。

「お帰りなさい。お疲れさまでした」
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