双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
海斗は詩穂を抱きかかえ、私の顔をまじまじ見る。
海斗とはひとつしか違わないから、歳の差も感じず同級生のような関係だった。それこそ詩穂と穂貴みたいな感じかもしれない。
「え? な、なんだろう......疲れかな?」
本当は心当たりはあったけれど、まさか『昔付き合っていた詩穂と穂貴の実の父親と遭遇した』だなんて説明できない。
「あんまり無理するなよ。ハルが倒れちゃ、穂貴も詩穂も心配する」
「うん。そうだね。気をつける。いつもありがとね」
私は『いつも通りに』と心の中で呟いて、海斗の背中をポンと叩いた。
詩穂は海斗が連れて行ってくれたから、私はひとり部屋に入って着替えをする。クローゼットを閉めて、ジッと手元を見つめた。
そうだよね。私がしっかり立っていなきゃいけないのに、これしきのことでぐらついていたらだめだ。
これまで、雄吾さんと再会したらどうしようかと考えなかったわけではないし、想像の中で私は決まって彼を毅然として拒絶していた。あのシミュレーション通りにすればいいだけ。
今一度、自分の気持ちを確認し、みんなのいるリビングへ戻った。
もしかすると、もう会わないかもしれない。だけど、また会いに来るかもしれない。どちらにしても、私は狼狽えずに淡々と話をして距離をおけばいい。
翌日の朝、身だしなみを整えながら鏡を見つめて自分に念を押した。
今朝はすっかり穂貴も通常運転、元気そのものだったため、ふたり揃って保育園へ登園させた。
先生にふたりを預け、園を出て駅方面へ向かう。
前を見て十数メートル歩いたところで、私は足を止めてしまった。
「おはよう、春奈」
これだけ多く通行人がいても、彼だけに目が留まる。彼が長身でモデル並みのスタイルだから、私は彼に気づいたのだろうか。いや、そうじゃない。
見た目だけじゃなく、彼の佇まい、私に向ける視線、私の名前を呼ぶその声......そのすべてに私の五感が反応して意識を全部持っていかれる。
一瞬で私の心を奪う人――。
「おはよう......ございます」
初めて出逢った時も、今のようにスーツ姿でとても似合っていて素敵だと思った。
月日が経っても、まだそういう感覚になるのはなぜなの。
「これから仕事なんだよね? じゃあ用件だけ」
海斗とはひとつしか違わないから、歳の差も感じず同級生のような関係だった。それこそ詩穂と穂貴みたいな感じかもしれない。
「え? な、なんだろう......疲れかな?」
本当は心当たりはあったけれど、まさか『昔付き合っていた詩穂と穂貴の実の父親と遭遇した』だなんて説明できない。
「あんまり無理するなよ。ハルが倒れちゃ、穂貴も詩穂も心配する」
「うん。そうだね。気をつける。いつもありがとね」
私は『いつも通りに』と心の中で呟いて、海斗の背中をポンと叩いた。
詩穂は海斗が連れて行ってくれたから、私はひとり部屋に入って着替えをする。クローゼットを閉めて、ジッと手元を見つめた。
そうだよね。私がしっかり立っていなきゃいけないのに、これしきのことでぐらついていたらだめだ。
これまで、雄吾さんと再会したらどうしようかと考えなかったわけではないし、想像の中で私は決まって彼を毅然として拒絶していた。あのシミュレーション通りにすればいいだけ。
今一度、自分の気持ちを確認し、みんなのいるリビングへ戻った。
もしかすると、もう会わないかもしれない。だけど、また会いに来るかもしれない。どちらにしても、私は狼狽えずに淡々と話をして距離をおけばいい。
翌日の朝、身だしなみを整えながら鏡を見つめて自分に念を押した。
今朝はすっかり穂貴も通常運転、元気そのものだったため、ふたり揃って保育園へ登園させた。
先生にふたりを預け、園を出て駅方面へ向かう。
前を見て十数メートル歩いたところで、私は足を止めてしまった。
「おはよう、春奈」
これだけ多く通行人がいても、彼だけに目が留まる。彼が長身でモデル並みのスタイルだから、私は彼に気づいたのだろうか。いや、そうじゃない。
見た目だけじゃなく、彼の佇まい、私に向ける視線、私の名前を呼ぶその声......そのすべてに私の五感が反応して意識を全部持っていかれる。
一瞬で私の心を奪う人――。
「おはよう......ございます」
初めて出逢った時も、今のようにスーツ姿でとても似合っていて素敵だと思った。
月日が経っても、まだそういう感覚になるのはなぜなの。
「これから仕事なんだよね? じゃあ用件だけ」