人を見た目で判断するな〜ダサダサ御曹司の真の顔〜
「本日の撮影は終了となります。お疲れ様でした」

 撮影スタッフの声が会場に響く。

「「お疲れ様でした」」「「お疲れ」」

 夕も、無事終わったことに安堵する。時計を見れば17時だ。下手したら二日間掛かるかもと言われていた撮影が、押すことなく終わるとは、聖というモデルは何者だろうか?

 聖は、軽く挨拶をして颯爽とスタジオを後にした。夕は、全く気にすることなく、撤収作業を手伝っていた。

 終了から三十分くらい経った頃だろうか。撤収も終わり解散になろうというところで、朝以来の専務が姿を現した。

「お疲れ様です」

「専務、そろそろ解散にしようかと」

「そうですね。皆さん、今日はお疲れ様でした。気をつけて帰って下さい」

 ずっとこの場にいたような雰囲気で、あっさり解散を告げた。しかも、専務より年配の役職者からも不満の声はあがらない。

 夕は、いまいち状況が理解出来ないが、早く帰れるならと、荷物を持ち上着を着る。

 そこへ……。

「送る」と声が掛かった。

「えっ!?結構です」

 思いもよらぬ人物からの申し出に即答した。
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