魔法使いは透明人間になりたい


 家に帰ってから、封筒の中から一枚だけ写真を取り出す。
 
 それは、わたしと佑のツーショット写真だ。顔を寄せ合って、佑は相変わらず完璧なビジュで、わたしは照れと眩しさで頬が赤くて、変な顔をしていた。
 
 部屋で一枚だけ飾る分には許されるだろう。そう言い聞かせて、お祭りでもらったスーパーボールを載せている小さなお皿の隣に、写真立てに入れて飾った。
 
 これから佑は、みんなのものになる。
 みんなが佑を知ってる世界になる。
 
 ただ少し前の世界に戻るだけなのに、寂しかった。
 
 ……どうか。
 どうか今度は、佑が傷つきませんように。
 
 楽しく幸せに、アイドルとして活動できますように。
 そして、佑の夢が、叶いますように。
 
 祈りながら、願いながら、わたしは目を閉じた。

 
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