*触れられた頬* ―冬―
 そしてもちろん空中ブランコも!

 二人はその(あで)やかで華やかな、自分達の舞台では行われない幾つかの真新しい技に、(またた)きも惜しむほど釘付けになった。

 さすがに人生の半分以上を捧げたユーリー・ニクーリンの名前を冠するだけあって、ショーとショーの間を彩るピエロ達の掛け合いは、まさしく絶妙だった。

 滑稽(こっけい)でユーモラスな仕草は、ロシア語が分からなくとも大爆笑だ。

 凪徒もモモも暮をどんなに連れてきたかったことかと、楽しみながら胸の内では悔しく思っていた。

 そして珠園サーカスにも複数のピエロがいたら、更に面白くなるに違いないとほくそ笑んだ。

 中盤十五分の休憩を挟んだ約二時間のショーは、響き合う沢山の拍手に見送られ惜しまれつつも、瞬く間に終わってしまった。(註2)

 退場する観客の晴れやかな笑顔を見上げながら、満足そうに大きな息を吐く。


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