*触れられた頬* ―冬―
「先輩は何を話していたんですか?」

 やっと女性陣から解放された凪徒が自分の方へ向きを変え、モモは純粋に問い掛けた。

「やたらとプロポーズされたから断っといた」(註3)

「えっ!?」

「嘘に決まってるだろ……そんなの信じてたら、お前これから(だま)されまくるぞ? ちゃんと明日の段取りつけてただけだ。これから衣装合わせするから、モモは彼女達と女性の衣装室に行け。通訳いなくたって大丈夫だろ?」

「は、はい……」

 戸口の手前に立つ先程の女性達が、微笑みながらモモを待っていた。

 凪徒は、苦笑いでこちらを見つめるフラれた金髪青年の許へ向かい、モモも慌てて反対方向へ駆けていった──。



[註1]中年男性の団長:ユーリー・ニクーリンの息子、マクシム氏が団長を務めていましたが、現在も現役なのか分かりませんので、架空のキャラを作りました。


[註2]ロシア語カタカナ表記:さすがに此処まで来ますと限界で・・・割愛させていただきました(汗)。


[註3]プロポーズ:半分は本当です(笑)。


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