倖せのかたち
大学の夏休みはまだ長い。

私たちは、かなりの頻度で手紙のやり取りをしていたが、やはり声が聞きたい、また会いたい、もう、手紙だけでは物足りない…。

そんな思いが芽生えてきたので、素直な気持ちを思い切って書いた。

すると、返信には電話番号やメールアドレスも記載されてあったので、ドキドキしながら電話をかけることに。

思えば、中学時代のボーイフレンドとは、電話することすら許されなかったので、こんな風に男の子に電話するなんて初めてだ。

「もしもし」

既に懐かしく感じる声に、

「私…映子です」

そう伝えると、

「きっと、そうだろうなと思ってたよ」

朔太郎の優しい声に、緊張もすぐに吹き飛んで、他愛のないことを話していた。
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