倖せのかたち
友達のまま
初めて電話をした次の日にはもう、私たちは再会していた。

住んでいるところが近いこともあり、ランチをすると、また次に会う約束もして、それ以降、都心から山梨方面まで、いろんなところへ出掛けた。

近くの居酒屋に行った夜、朔太郎はさりげなく、恋人はいるのかと尋ねてきたので、正直に居ないと答えると、朔太郎も居ないとのこと。

朔太郎がフリーで嬉しかったのに、私の心は、あることが理由で立ち止まってしまう。

ほろ酔いで帰宅したあと、私は、かつてそうしたように、ベッドで瞳を閉じて、朔太郎とのラブシーンを描いてみようとした。

もう大学生だし、大丈夫であってほしいと願いながら。

しかし、私は高校の頃から何も変わっていない。

描こうとする時点で、この頭は強い拒否反応を起こす。

「やっぱり…ダメだ…」

横たわったまま目を開けて呟くと、自分が情けなくなった。

出逢ってから、トントン拍子でここまで来たし、心はとっくに奪われている。

恋が始まる予感さえするのに、私は、これ以上進むことができない。

そう思うと、切なくなってしまう。
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