倖せのかたち
「はい、これ」

渡されたのは、クリスマスカラーのとんがり帽子。

可愛い演出だな…と、微笑ましく思う。

「そうそう、シャンメリーも用意しておいたよ」

「あれ、朔太郎ってお酒好きなのに、シャンパンじゃないんだ?」

二人して、よく居酒屋や屋台に行ったりするが、朔太郎は結構な量を飲んでも、ほろ酔い程度なので、相当強い。

「うん。店で飲むならいいけど、ホラ…素敵なレディを一人暮らしの部屋に招いてるんだから、マナー的によくないかなって」

照れたように朔太郎は言う。

気を遣ってくれてるんだ…。

こういう紳士的なところも、好き。

「ふふ、素敵なレディなんてお世辞言ったって、何も出ないわよ?」

本音を誤魔化すよう、少し茶化してみる。
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