倖せのかたち
イヴは二人きりの部屋で
そして、約束のクリスマス・イブ。

まだ明るい時間に、初めて朔太郎の部屋を訪ねた。

「いらっしゃい。待ってたよ」

相変わらず、笑顔が目映い。

「お邪魔します」

男の子の一人暮らしだからだろうか?

私の住んでいるオートロックのマンションとは違い、インターホンすらない、年季の入った部屋だ。

「安アパートで、ギョッとしたんしゃない?」

クスクス笑いながら朔太郎は言うけれど、年季こそ入っていても、きちんと掃除が行き届いていている。

「ううん。キレイにしてて立派だなって」

「あはは!それは単にあんまりモノを置かないようにしてるだけだよ。あれこれ置くと、やっぱり散らかるだろうから」

確かに、少し殺風景と感じるぐらい、最低限のものしか置いていない部屋だ。
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