倖せのかたち
部屋に戻ると、朔太郎とまさかの相思相愛どころか、同じような価値観だったという、夢のような展開の余韻に浸っていた。

けたたましくケータイが鳴っているが、今はそんな気分ではないから、あとでかけ直そう。

というのも、この着信音は、朔太郎からではないから。

当時、そんな風に、相手によって着信音を変えたりするのも流行っていた。

お互いに色欲はないから、相思相愛になったところで、単に今までと同じように、これからも一緒に居られるだけのことだけれど、それは私が何よりも望んでいたことだ。

嬉しくて仕方なくて、気づくと眠りに落ちていた。

二人で、手を繋いで砂浜を走っているという、極めて乙女チックな夢を見ながら…。
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