カレンダーガール
「おはようございます」
剛先生が入ってきた。

一瞬で果歩ちゃんの顔が引きつる。

「桜子先生。職場で果歩ちゃんはないでしょう?」
しかし、剛先生は果歩ちゃんに目もくれず、私に向かって渋い顔。

それから真っ直ぐ果歩ちゃんに近づいた剛先生は、NICUを出て病棟でカルテの整理をするようにと指示を出した。

「何で私がNICUを外されるんですか?」
不満げに詰め寄る果歩ちゃん。

「今の君にはNICUは無理だ。だからだよ」
「納得できません。剛先生も桜子先生の味方ですか?」
よほど気に入らないのか、子供みたいな事を言い出す。

剛先生は呆れた様に果歩ちゃんを見たものの、それ以上は何も言わずに仕事に戻って行った。
しばらく、泣いたり怒ったりして剛先生について廻っていた果歩ちゃんだけど、無反応の剛先生に結局あきらめるしかなくなった。

その日から、果歩ちゃんは病棟勤務になった。
後から聞いた話では、剛先生に怒られた不満を部長に言いつけたらしいけれど、同時に看護局から果歩ちゃんに対するクレームも上がり、黙るしかなくなったそうだ。
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