カレンダーガール
表面上元に戻った小児科病棟。
以前みたいに元気に明るく振る舞う果歩先生。
スタッフに対する態度もか、かなり穏やかになった。
でも、私は不安だった。
それは、果歩先生を見ていると啓介のことを思い出してしまうから。


飯田啓介。
医学部の同期で、私の元彼。
昨年、研修医としてこの病院の整形外科に勤務していた時、ストレスから薬に手を出してしまい薬物依存となって・・・
最終的に病棟から麻薬を盗んでしまった。
私は何とかして助けたくて、明日鷹先生が止めるのも聞かずに彼に会いに行った。
けれど、遅かった。
啓介の心はすでに壊れてしまっていた。
そして、私は啓介に刺された。

私の知っている啓介は頭が良くて優しい人。
決して薬に手を出すような人間ではない。
それだけ啓介が追いつめられ、逃げ場がなかったってことだと思う。
仲間が、上司が、環境が、少し違っていたら啓介は壊れなかったかもしれない。
そう思うと、果歩先生の頑なな態度に不安がよぎって仕方ない。
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