カレンダーガール
二人でランチをとりながらも、つい周りを見渡すのが最近の癖。
私はいつの間にか果歩先生に会わないように、周囲を気にしている。

「ねえ、本当に大丈夫?」
心配そうな紗花。
「うん。ちょっと疲れてるのかな。それに、寒くなると傷も痛むのよ」

啓介に刺された背中の傷。
傷自体は、そんなに大きなものではない。
でも、私の心には体以上に大きな傷が残ってしまった。
一番身近にいて、救えるはずだったのに気づいてあげたれなかった後悔が傷の痛みに連動して胸を締め付けている。

「自分では大丈夫だと思ってるけど。心が言うことを聞かない感じかな」
それが、正直な今の気持ち。

「森先生に話したら?」
「お願いだから、明日鷹先生にも剛先生にも余計なこと言わないでよ」
「わかったけど。ホントに辛くなったら、ちゃんと言うのよ」
念を押す紗花に、
「うん、大丈夫。分かってるから」
私は返事をした。
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