カレンダーガール
師走。
明日鷹先生のマンション。

街は木枯らしが吹いて寒そうだけど、私と明日鷹先生はとても順調で、お互いの休みが合えば泊まりに行ったり買い物や映画に出かけたりしながら幸せに過ごしていた。

「ねえ、桜子」
後ろから急に声をかけられて
「キャ」
思わず声が出た。

「どうしたの?」
明日鷹先生ほうが驚いている。
「大丈夫。ちょっと驚いただけだから・・・」

一生懸命言い訳したのに、明日鷹先生は立ち尽くしていた私を部屋に連れて行きソファーに座らせると自分も並んで座った。

「いつから?」
私の方に体を向け、真っ直ぐに見ている。

「え?ヤダ。ちょっと驚いただけでしょ」
なんて、誤魔化してみたけど・・・

「馬鹿にしてもらっちゃ困る。分からないとでも思うか?今だって、桜子震えてるじゃないか」
「・・・」
「そんなに俺は信用できないのか?」
「そんなこと・・」
こうなったら、もう話すしかない。

私はありのままに話した。
果歩先生の騒動以来、啓介を思い出すことが多くなったこと。
特に後ろから声をかけられたときに驚いてしまい、声を上げたり、急に体が震えて止まらなくなることもある。
私が話し終わると、明日鷹先生がギュッと抱きしめてくれた。
途端に、さっきまでの震えが止まった。

「桜子、体の傷も心の傷も簡単には消えないけれど、一緒にゆっくりと治していこう」
明日鷹先生の優しい表情に、コクンと私は頷いた。
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