カレンダーガール
翌日。
私は勤務を早めに切り上げて、有香さんの入院する病院へ向かった。

郊外にある、3階建ての療養型のホスピス。
有香さんの病棟は一階の南向きにあり、庭に面した日当たりの良い場所だった。

「こんにちは」
行き交う看護師さんが優しい笑顔を向ける。

「お邪魔します」
部屋の前まで行くと病室のドアは開いていて、私は声をかけて中に入った。

「ああ、桜子さん」
とっても嬉しそうに、有香さんが迎えてくれる。

でも、
でも、有香さん。
随分とやつれて、やせ細っている。

「びっくりした?」
私の気持ちを察して有香さんが口を開く。
「いえ、そんな・・・」
医者のくせに、こんな時に言葉が出てこないのが情けない。
「気にしないで。自分でも分かってるから」
明るく振る舞う有香さんに、動揺してしまった私が恥ずかしくなった。

その後、私と有香さんは普通に話をした。
最近のニュースや、明日鷹先生の近況、私の仕事の話など。
まるで、わざと本題を避けるように笑い合った。

「桜子さん。ちょっと庭に出ない?」
ちょうど30分ほど経った頃、有香さんが誘った。
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