カレンダーガール
数日後。
有香さんの死を知らせる電話をもらった。
かけてきたのは有香さんのお母さん。
亡くなったら知らせて欲しいと書き留められた名前の中に、私があったらしい。

その日のうちに、明日鷹先生からも連絡があった。

「一緒に葬儀に参列する?」
と聞かれたけれど、
「ひとりで行きます」
と断わった。

有香さんとの出会いのきっかけは明日鷹先生だけど、今はひとりの友人としてお別れしたい。
それに、有香さんがずっと好きだった明日鷹先生と並んで参列することに、ためらう気持ちもあるし。



翌日。
有香さんの葬儀は参列者の多い賑やかなものだった。
音楽家だっただけあって、友人達が有香さんを偲んで音楽を演奏するシーンもあった。

明日鷹先生は親族席の方に座っている。
小さい頃からの家族同士のつきあいと言っていたから。
私は友人席で会葬した。

遺影として飾られた写真の中で、元気な頃の有香さんが優しく微笑んでいた。
好きだったという百合の花で覆われた祭壇もまた有香さんらしく、派手さのない凜としたものだった。

人生なんてあっけない。今を大切に、悔いなく生きようと改めて思った。
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