カレンダーガール
「森先生の家は代々医者の家系で、実家は総合病院を営む御曹司なの。おじさんは先々代のここの学部長だし。とにかく、私たちとは住む世界が違うのよ」
「へー」
「それに、今の学長のお嬢さんと結婚の話もあるらしいわ」
「へー」

へー。以外の言葉が出てこない。
でも、紗花の言いたいことはなんとなく分かった。

「紗花。わたし、明日鷹先生に興味ないよ。そりゃあ、かっこいいなとか、大人だなとか、頼れるなとか、思うけど、それだけだよ」

紗花が心配するようなことはないわと言ったのに、それでも紗花は怒った顔のまま。
「それって十分興味あるって事よ。興味ない人と、桜子食事になんか行かないでしょう?」
「それは・・・」

私が黙ってしまうと、紗花は食べかけのランチをトレーにのせた。

「え、もう食べないの?」
「食欲なくなった」
うわ、本当に怒ってる。

「桜子。私はあなたがどんな恋愛しようと止めないけれど、傷つかないで。桜子は不器用で、人とのしがらみに弱いんだから」

そう言うと、紗花はトレーを持って席を立ってしまった。
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